2017年7月20日(木曜日)[ 見解・資料 ]

底上げで、市民を豊かにするサイチン

最低賃金制とは、賃金の最低限度の額を決めて、その金額以下で労働者を雇うことを使用者に禁止するものです。

広く知られているのは地域別最低賃金ですが、労働組合が闘争の対象とする最低賃金には、3つの種類があります。

1つめは、「法定最低賃金」です。これは、最低賃金法に基づいて国が定めるもので、先に挙げた「地域別最低賃金」と「産業別最低賃金」とに分けられます。とりわけ、前者はもっとも多くの労働者に適用されるもので、全国約5000万人の労働者をカバーしています。

たとえば、昨年10月に神奈川県の最低賃金が905円から930円に引き上げられたことで、県内で働く労働者のうちのなんと2割が賃上げされました。住民の暮らしを豊かにして、内需循環型の持続可能な社会を実現するためにも、中小企業への支援策とセットで全国一律最低賃金制度の確立と抜本的な引き上げが必要です。

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2つめは「企業内最低賃金」です。これは企業と労働組合の間で、「協約」を結び、組合員がそれより安い賃金で働かせられないように決めるものです。

企業に労働者の生活保障という社会的責任を自覚させ、かつ職場内の格差是正にも有効です。適用範囲は企業内の労使関係だけにとどまる狭いものですが、労働組合が産業別組織の闘争に位置付けて、使用者に協約締結を迫ることで、法定最賃の産業別最賃を引き上げる情勢を切り開く効果もあります。

横浜市役所では、「初任給の年齢別最低保障」があり、「前歴換算」では、幅がある条例上の換算率が運用で固定されています。現実の有職歴者の職歴に照らせば、比較的有利になる場合が多い運用で、市役所内の労働力の公定価格の底上げ、下支えになっています。

いずれも客観的には市従労働運動の成果と言えます。しかし、組合員要求と生計費原則に照らせば不十分であり、市従としてはひきつづき改善を求めています。

3つめは公契約条例に基づく「公契約最賃」です。公契約条例は自治体が公共事業を受託した事業者に、事業に携わる労働者へ自治体が求める賃金を確保するよう規定するものです。

日本では、2009年9月に千葉県野田市で初めて制定され、翌2月に施行されたのが始まりです。政令市としては2010年12月に川崎市ではじめて制定されました。現在は、相模原市にも条例があります。

公契約最賃は、法定最賃よりも高く設定されます。したがって、もっぱら低価格競争と、それを可能にする雇用の非正規化、不安定化と賃下げに収斂しがちな公務の民営化、民間委託化に歯止めをかける点でも注目されています。民営化された公務部門の労働者への賃金を保障し、生活を安定させることは、公共サービスの質を担保する意味でも重要です。

ところで、林市長。「人も企業も輝く横浜」とは言っているのに、公契約条例には「研究する」と言ったきり背を向けたまま。市民は待っています。市長の目に映る「人」は財界「人」だけなのか。

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