2018年4月2日(月曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第129山】奥利根源流(群馬県、新潟県)「遙かなる雪山の連なり」

利根川の源流域には膨大な山地が広がり、「奥利根源流山域」と呼ばれる。標高は中級ながら尾根と沢が幾重にも絡み合い、ニッポン随一の大河の源に相応しい広がりを見せる。登山ルートは大半が山麓から山頂への往復であり、稜線上を結ぶ縦走路はごく一部。夏場は猛烈なブッシュで人を寄せ付けず、冬場は豪雪で危険極まりない。積雪の締まる残雪期のみ(主にGW前後)に一般登山者に道を開いてくれることになる。

スタートは日本百名山でもある巻機山。連なる山々の果て遥かに目指す平ヶ岳や至仏山が鎮座。そこからいきなり夏道なき雪の尾根歩きとなる。小沢山、下津川山、越後沢山。一般には無名の山々を幾つも越え、利根川の究極の水源である大水上山に至る。夏道はこの付近から下れるが、この時期は下ってからの川沿いの林道歩きが却って危険。道上に降り積もった豪雪がひどい急斜面をなし、滑れば川底へ一直線なのだから。したがって逃げ道なし、しかしここからがむしろ難路の本番となるのである。

稜線は家サイズほどもある膨大な雪のブロックが引っ掛かっていて、いつかは崩壊する運命。上を歩いている時に、どうか崩れてくれるなと祈るばかり。崩壊した跡地は笹の猛烈なヤブが露出していて前進を阻む。なにを好き好んでこんな所に…ここは本州が最も膨らんだエリアの中核、無数に連なる白銀の山々が、三角形のパターンを鱗のよう連ねる。そこに居るちっぽけな自分、膨大な山の質量に圧倒される孤独の存在。他では得られない感覚なのだ。なおも、にせ藤原山(俗称ではなく地形図記載の本名)、剱ケ倉山、いわくありげな山々が続く。

剣呑な尾根の連続から、平ヶ岳に至って広大無辺な緩斜面となると『どうやら無事に済んだ』という感慨でほっとする。平ヶ岳と言えば、一般登山の感覚では最も奥深い山である筈なのだが、後はゴールまでゆるゆると歩くのみだ。終着はご存じ尾瀬ヶ原。白一色の平原は夏や秋とは別景だが、数日間の緊張と労力の果てであるが故に、余計に異質の世界として目に映る。最後に驚愕の事実を。こんな難ルートをも我が庭としている、真の山の達人が存在することだ。

◆おすすめコース
清水集落-巻機山-大水上山-平ヶ岳-尾瀬ヶ原(35時間:上級向け)※残雪の量が成否のカギを握る

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遥かなる山岳重畳

◆参考地図・ガイド◎国土地理院地形図で ※「登りたいのは山々」に掲載の写真は市従のHPでご覧いただけます。

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