2018年8月9日(木曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第135山】八幡平1613m(岩手県)「山名・風景・温泉の妙味」

天下にその名をとどろかす日本百名山。さぞかし難しい山ばかりかと思いきや、観光気分で手軽に登れてしまう山もいくつかある。その代表格が八幡平で、バス停から緩やかな石畳道が続き、歩行30分足らずで一丁上がり。さすがにハイヒールでは厳しいが、パンプスやビジネスシューズなら無理なく山頂に立てる。

一帯はシラビソなどの北方系の針葉樹林に覆われているが、山頂には巨大な木製の展望台が建っていてパノラマが欲しいまま。そして展望台の脇にある、奇妙な(?)山頂標識が目に留まる。「八幡平頂上」と大書されているのである。他のどんな山でも山名の末尾に「頂上」なんて記載することはない。殆どここだけのことだ。一体何故?

八幡平は緩やかなアスピーテ火山群の総称で、それぞれのピークには〇〇岳などと固有の山名がついている。ところが盟主とも言うべき最高峰の名が、どうもはっきりしない。「八幡平」と呼び習わされてはいるが、本来は山地全体の名称だ。そんな自信の無さから、「頂上」をオマケに付けてお茶を濁している……などと勘繰ってしまうのである。

もちろん山頂ばかりが目標ではない。山頂の東には火口に水が溜まって出来た八幡沼があり、針葉樹に囲まれた静謐な湖畔に建つ洒落た小屋(無人の避難小屋だが)が格好のアクセント。まるで北欧の湖水風景のよう。森と泉に囲まれて静かに眠る……と言うフレーズがぴったり。風景として実に決まっている。さらに沼を取り巻くように美しい湿原が広がり、尾瀬の小型版を歩いている感覚だ。これら秀逸な風景を観光スタイルの延長で歩けてしまうのが、八幡平の売りでもあるのだが、本格ハイクなら、さらに周囲四方の登山道に足を伸ばせば充実の高原ライフを満喫できる。

ハイクを終えたらちょっと車で足を伸ばしてみる。驚くほどディープな露天風呂の並ぶ藤七温泉、蒸し風呂で有名な後生掛温泉、強酸性の新玉川温泉、八幡平一帯は温泉と湯治のメッカでもあるのだ。瀟洒な風景から秘湯の梯子へ。みちのくの山の魅力が存分に詰まっている。曖昧な山名も、ここならではの妙味と言うことにしておこう。

◆おすすめコース
八幡平頂上バス停-山頂往復と八幡沼一周(2時間:初級向け)※夏から秋に盛岡駅から運行される「八幡平自然散策バス」が格安で便利。

1512-2

初秋の八幡沼、後方は湿原(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図5「岩手山・八幡平」

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