2018年10月1日(月曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第139山】摩周岳857m(北海道)「見るだけより登ってこそ」

摩周湖と言えば、第1・第3の二つの展望台からの眺望があまりに有名で、北海道を代表する観光スポットになっている。摩周ブルーと呼ばれる、深みのある蒼い湖水が印象深いが、一帯の風景を引き締め、立体感豊かな絵として芸術性を高めているのが、湖水の背後に屹立する摩周岳(カムイヌプリ)に他ならない。ふたつの岩峰から成っていて、その怪異な姿からすると、とてもまともには登れなさそうに見えるが、一般的なハイカーのレベルで無理なく登頂できるのは嬉しい。

スタートは観光客で賑わう第一展望台。ここから外輪山を半周して山頂を目指して行く。見えるピークは遥か先だが、途中の高低差があまりないので、行動は思ったよりはかどる。当初は左手に摩周湖が広がるが、観光目線で見たのと大差はない。印象深いのは反対側の右手だ。ごく緩やかな笹原の斜面に樺系の樹木が点在、そのスロープが広大無辺な根釧原野に続いているから、とてつもなく雄大な牧場風景のよう。これぞ正しく北海道!

そこそこ歩いた頃、樹林に突入し展望がなくなり、且つ急登となる。展望台から見えていた急角度の稜線を詰めているわけだ。やがて山頂直下、いきなり眼下に摩周湖が姿を現す。心象的にはドーンとでも言う感じ、不意打ちに驚く他はない。僅かに上って待望の山頂だ。正面にはもう一つの岩峰である西峰がそびえ立っているが、今いる本峰よりたった2m低いだけだから、湖の眺めを分断してしまっている。しかしこの岩峰の姿が実に決まっている。首を持ち上げ、左右に翼を広げた怪鳥のような。その翼の双方に湖が横たわり、強烈な個性溢れる構図・色彩で登頂者の目を存分に楽しませてくれるのである。

このダイナミックな「絵になる」光景が、道内のハイカーはともかく、本州以南の登山愛好者に殆ど知られていないのは如何にももったいない。観光目線では絶対に得られない、登頂者のみに与えられた特権である。百名山クラスと同等かそれ以上の価値がある山だ。誰しも見ているのに登られていない山、そんな穴場を制した気分は格別である。

◆おすすめコース
摩周第一展望台-摩周岳(往復)(5時間:中級向け)※霧の摩周湖とは言うものの、視界の利くチャンスは結構多い。

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山頂から見る西峰と、背後の摩周湖(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド ◎国土地理院2万5千分の1地形図「摩周岳南部」

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