2018年11月21日(水曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第142山】平ヶ岳 2,141m(新潟県・群馬県)「訳ありの3ルート」

人里遠い奥利根源流域のそのまた果てに位置し、ニッポンで最も奥深い山のひとつである。その名の如く平たい山頂スタイルから遠目には判別しやすいが、登ってみると見た目よりも起伏は多い。緩斜面に広大な湿原が広がり、背後に居並ぶ数々の雄峰が圧巻。最奥部にあって山上楽園の観を呈している。かつては知る人もない秘峰中の秘峰であったが、日本百名山に選定され有名に。ために幾つかのルートが付いたが、どれもが訳ありなのである。

①鷹ノ巣ルート:最初に出来たルートで、往復の所要タイムが11時間以上。山中で宿泊できないので日帰りで往復するしかない。暗いうちに出発しても下山するのは夕暮れ時、勢い山麓で前泊と後泊せねばならず、日帰りハイクに2泊3日を要するコスパの悪さ。その故か、後に開かれたのが次のルートである。

②プリンスコース:林道で山奥深く、山頂に近い所まで上がれるので、所要タイムは①の約半分。ただしこの林道、山麓にある特定の宿の車しか入れない。そこに泊まって金を落とさねば利用できないわけで、ある意味不公平なコースだ。宿の送迎車が出るが、往復だけで3時間を要する上に、お迎え時間が決まっているから、山上でゆっくりできないジレンマがある。ちなみにコース名は、昭和の頃に我が国のプリンスが、ここから登頂されたことに由来する。あくまで俗名ではあるが。

③積雪期ルート:平ヶ岳は尾瀬に近い。①②のルートが雪に閉ざされている残雪期に限り、尾瀬ヶ原経由で登頂できる。普段は歩行禁止の尾瀬の湿原も、積雪の深い頃なら自然破壊にならないからだ。もちろん雪山経験者でないと不可で、一般ルートではない。

いずれにせよ、どのルートもいろんな意味で一癖も二癖もあって、厄介な山登りを覚悟しなければならない………が、無名の平ヶ岳を世に紹介した、百名山選定者である深田久弥自身の登頂は道ができる前。ボートで湖を渡り、沢を詰め、ヤブを漕ぎ、実に5日を懸けて踏破している。その労苦からすれば、登りにくいなどと愚痴っていると、『ならば登る資格なし!』と泉下の深田に叱られてしまいそうだが。

◆おすすめコース
平ヶ岳中ノ岐登山口-平ヶ岳(往復6時間:中級向け)※なんだかんだ言っても、大半の人は送迎付きのこのコースを利用。

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③ルートの尾瀬外縁部から見た平ヶ岳(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図15「越後三山」

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