2019年1月1日(火曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第145山】阿寒岳 1499m(北海道)「雄阿寒VS雌阿寒」

阿寒岳は日本百名山に認定されているが、その実態は複雑である。雄阿寒岳と雌阿寒岳の双方があるのだが、連峰ではなく直線距離で15㎞も離れている。全く別の二山を一括りにしてしまっているわけで、他に例がない。ではどちらの阿寒岳に登ればいいのかと言うことになる。百名山の選定者である作家の故深田久弥は、雄阿寒岳にしか登っていない。ゆえにそちらを優先すべしと言うのも一考だが、実際は標高の高い雌阿寒岳だけに登っている人が多数派のようだ。

本来なら双方登るのがベストだが、どちらか一峰と言うことであれば、雌阿寒岳をお勧めしておく。まず、上り下りの労力が少なくて済む。コースタイムは大差ないが、雄阿寒岳はとにかく急峻で、登りは喘ぐし下りは神経を使う。対する雌阿寒岳は登りも下りもゆったり登山道が付いていて、気分的にも随分と楽だ。

さらには登っている感覚にも大差がある。雄阿寒岳は樹林帯中心で、上部からは阿寒湖が眼下に、山頂からは阿寒湖の支湖ともいうべきパンケトーが見えるなどそれなりのものではあるが、雌阿寒岳は格段に凄い。中腹からは遥か大雪山にも連なる果てなき大樹海が、そして山頂一帯からの展望はド肝を抜く。噴煙の上がる荒々しい火口内部はどこか月世界を思わせるし、遠く雄阿寒岳と阿寒湖が絶妙のコンビネーションで見せてくれる。その前景の赤茶けた広大な岩原と噴煙がより景観を盛り上げる。神秘的な円形の青沼も目を引く。山頂風景の多彩さなら雌阿寒岳の方が数段優れていると断言できるのだ。

山の恰好そのものはズバリ富士山スタイルの雄阿寒岳のほうがいい。しかし、富士山とは「登るよりも見て良い山」なのは定説だ。実際、雄阿寒岳から見る雌阿寒岳よりも、逆パターンの方がずっと見栄えがする。そうは言っても富士山型の山にも登っておきたい、しかしもう1日を費やす余裕はないと言う方には、雌阿寒岳に隣接する、その名もズバリ阿寒富士がお勧め。草木の無い石や砂の斜面なので、気分的にも本家富士山そのもの。こんな相棒が身近にいるのも、雌阿寒のアドバンテージなのである。

◆おすすめコース
雌阿寒温泉-雌阿寒岳-オンネトー-雌阿寒温泉(6時間:中級向け)※現役の活火山であるので、最新の活動状況のチェックを

1527-1

雌阿寒岳山頂から、雄阿寒岳と阿寒湖(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎昭文社:山と高原地図1「利尻・羅臼」

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