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住民の声聞く耳持たず カジノ本腰の市民説明会

 カジノを含む統合型リゾートIRの誘致表明後初となる市民説明会が12月4日、中区開港記念会館で開かれました。18区すべてで順次行われる予定です。

 上限(座席数440)を超える950人から申し込みがあり、中区民優先の抽選によって選ばれた376人が参加しました。スーツ姿が半数を超えている印象。

 「中立」と自称する元TBSアナウンサーの渡辺真理氏が司会者を担い、進行を務めました。住民からの質問を市長が直接受けることはなく、説明後の休憩時間に「質問用紙」を回収。司会者が無作為に抽出して代読する形式が採られました。

 登壇したのは林文子市長、小林一美副市長、小池政則都市整備局長、天下谷秀文IR推進室長の4人。

 市長は「市の現状を説明する」として、法人市民税や観光消費額の伸び悩みなどに触れながら、ラグビーワールドカップや港湾整備、大型公共事業等の取り組みについて声を弾ませて熱弁。ワールドカップの決勝戦での観客動員数の報告などで、時々はしゃぐようなそぶりも見せました。

 IRの説明は、IRと関係のない市の取り組みを「丁寧に説明」した後、淡々と早口で。カジノが占める面積は全体の3%に過ぎず、97%がエンターテイメント施設やショッピングモール、MICE、ホテル群が占めること、カジノの入場規制も世界最高レベルだと報告しました。一方で、収益の比率は示さず、社会的コストの算出も損益分析も語りませんでした。

多くの住民が懸念する依存症対策については、横浜市立大学等との連携を検討していることと併せて、わずか3千人が対象の調査にて実態把握していくことが説明されました。

 説明後の質疑応答に用意された時間は30分。カジノで税収を増やそうということ自体が間違いと書かれた質問用紙を読み上げても「質問という形ではございませんのでこれは回答(が必要)ではございません」と司会者独自の判断で切り捨てる場面も。

 質疑が終了した直後、的外れな答弁にたまりかねた様子の住民が立ち上がり、市長に対話を求めるも対応したのは司会者でした。住民の声を遮って「夜を徹して話をしようという機会では、今日は残念ながらない。それをやってほしいのであれば、市にやってほしいとおっしゃってください」と焚きつけて、「ではやってください」と住民が訴えるやいなや、金切り声で「できると思う方!」と絶叫して住民を孤立させ抑え込んだ司会者。静まり返った会場に挙手する数名の住民。自身のマイクを通した声を住民の声にかぶせる司会者。負けじと大きな声で「(説明の当初で)市長がIRと関係ない話をせずに、少しでも多く質問に答えるべきだ」と訴える住民。そこへスーツを着た男性一人が「ルールを守りましょうよ」とヤジを飛ばすと、会場は半数を超えると思われるスーツ姿の男性中心の区画の示し合わせたような拍手で異様な雰囲気に飲み込まれました。


囲み取材の内容についてはこちらをご覧ください。
http://www.siju.or.jp/archives/4340