2008年12月1日(月曜日)[ 絵本ひらいてみませんか ]

第59回「かあさんのいす」

絵本「かあさんのいす」の表紙

かあさんのいす
作・絵:ベラB・ウィリアムズ
訳:佐野 洋子
あかね書房


小学校の初級のころ、私には目的とか夢ってあったかしら。あったかも知れないし、何も考えずのほほんと過ごしていたのかも…。
日記も夏休みしか書かなかったし、ウーンウーン、思い出せない。
きょうの一冊は、ちいさなおんなの子が、一家に降りかかった出来事を、淡々と語ります。
たぶんこのお話は、ベラ(作者)の身に起きたことなのでしょうね、家族の心情が伝わってきます。
1ページ目、真ん中にポツンと一脚の椅子が小さく描かれ《かあさんの思い出のために》とあります。
お母さんのこと、ずっとずっと忘れないよ、というメッセージが込められた絵本です。
《かあさんはブルータイル食堂ではたらいています。ウェートレスをしています。 わたしはときどき学校のかえりに、かあさんにあいにいきます。》
このお店でお手伝いをすると、店主がなかなかやるわね、とお金をくれます。それを半分「あのビン」にいれます。
ある日、お母さんと買い物から帰ってくると
《家のまえにしょうぼうじどうしゃが2台いました。そしてわたしの家からけむりがむくむく出ていました》
おばあちゃんも猫も助かりましたが、ほかの物は全部焼けてしまったのです。
何もかもなくしてしまい呆然とする一家の灰色の画面。次のページの唯一見開きの黄色とオレンジの画面には、近所の人が列になって一家に物を運ぶ様子が描かれています。
食べもの、家具、食器…。
読みきかせでは、「おじいちゃんが、きれいなじゅうたんをくれました」と言うと、「あっ、このひとだ!」と見つけます。もともと大きな本ではないので少人数でないと気付きませんが。
沢山の品を贈られたのですが、おんなの子は疲れた母親の姿を見てお金を貯め始めます。 《すごくふわふわで、すごくきれいで、すごく大きいのを買うのです。それはバラのもようがついたビロードのいすでなくてはいけません》
ビンがいっぱいになり、とうとう、思い描いていた椅子を手に入れます。
目的を持って生きるってエネルギーの源ですね。
最後のページは夢が叶って、おおきないすに納まった3人のスナップです。

「横浜市従」第1218号(2008年12月1日)より

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