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さようなら、ハマ弁 子どもたちのために正しく「失敗」に向き合え

 2月21日の市会本会議で林文子市長は、2021年度からの実施も視野に入れて、できるだけ早期にデリバリー型の中学校給食を実現するとの見解を示しました。各党の予算代表質問に答えたもので、市長が中学校給食の実現に直接言及したのは初めてです。

 市では事業者と協定を締結し、2017年から中学校全校でハマ弁(横浜型配達弁当)を実施してきました。そもそもハマ弁は、当初喫食率20%を目標に、給食によらない横浜独自の中学校「昼食」として導入されました。ところが「美味しくない」「頼みづらい」「時間がない」などの理由から、1%の喫食率でスタート。注文用のアプリを開発し、販売価格を引き下げ、当日注文にも対応、推進校まで登場したにもかかわらず、喫食率は7%と低迷したままです。

 いよいよ市民の声に真摯に向き合うことが期待されますが、よほどハマ弁の失敗を認めたくないのか、2020年度末で事業の協定期間が終了することから2021年度以降のあり方を検討するために実施したアンケートでは、「デリバリー型給食」に限定して利用希望頻度を問い、このたび市長は、「アンケート結果からデリバリー型給食への保護者の期待は高(い)」「ハマ弁の更なる改善を図(る)」「ハマ弁を学校給食法上の給食に位置付ける」と答弁しています。

 しかし、同じ本会議の中で鯉渕教育長が答弁しているとおり、ハマ弁の「実施主体は事業者」です。一方、給食は「市が献立作成や直材調達の規格などを担」って「国産比率の向上や地産地消の推進など、食材の充実も目指してい」くものです。したがって、実態としてはハマ弁という事業が終了し、学校給食法に基づいた中学校給食がいよいよ始まるものと理解して差し支えないでしょう。

 いかに市長が苦し紛れの答弁をしているとしても、中学校給食が実現へ向かう点は、給食への保護者の期待の高さなどを反映したものとして歓迎されるものです。

先行自治体に学べば学校調理方式が最善

 ところで、選択制デリバリー型給食を先行実施していた大阪市では、昨年、自校調理方式と親子方式の併用によって、全校で「学校調理方式」へと切り替わりました。なぜそのようなことになったのか? 「冷たい」「まずい」と生徒からの評判が悪かったデリバリー型給食。大阪市教育委員会が残食の調査をおこなったところ、約3割が残されていたことがわかりました。

 実に残食率全国平均の4倍。2015年9月から、親子方式でのモデル実施をおこなったところ、食べ残しは5%に改善されました。県内では、愛川町が今年度の2学期からデリバリー型給食をやめ、親子方式での中学校給食へと切り替わります。冷たいデリバリー型給食の利用率が低迷したままであることに加え、生徒や保護者からの「温かい給食を」という声に応え、実施に踏み切ったものです。

 周回遅れの横浜市。ただでさえ望まれないハマ弁で税金を無駄にしてきたばかりか、長い間、中学生の食育を怠ってきました。生徒や保護者が望むのは、小学校のようなできたてで温かく、みんなで食べる給食です。「学校給食法上の給食に位置付ける」のは結構ですが、学校調理方式を敬遠してハマ弁の失敗を繰り返さないか心配の声が聞こえてきそうです。