2009年2月1日(日曜日)[ 読書 ]

格差と貧困がわかる20講

dokusho-1221年末年始の「派遣村」の盛況ぶり、いつの時代の話なのかと感じた人も多いはず。しかし、いくら目をぬぐっても消えることのない現実は90年代半ば以降の新自由主義に基づく構造改革路線が猛烈な勢いで進めてきた雇用の不安定化、非正規化の当然の帰結です。

日大経済学部での特別講座「格差社会」の講義内容をもとに編纂された本書はテレビや新聞でもお馴染みの慶大の金子勝氏や同志社大の橘木俊詔氏を初めとして、『雇用融解』で知られるジャーナリスト、東洋経済新報社記者の風間直樹氏、「派遣村」村長の湯浅誠氏、全労連調査局長の伊藤圭一氏や現場の最前線で活動している施設職員や医師など、総勢20人のバラエティーに富んだ執筆陣による異色の「教科書」です。また、各章が10数頁とコンパクトにまとめられ、思考の交通整理に大いに役に立つ1冊です。以下、簡単に内容紹介。

第1部は「格差社会のいま」と題し、男女格差、働き過ぎ男性の貧困な生活、女性高齢者、地域間格差、生活保護、外国人労働者等の問題が論じられ、「格差」の本質は「差別」であることが明らかにされます。

第2部では「格差と貧困-現場から、世界から」として、派遣・請負労働者、多重債務、医療、障害者、母子家庭、米国、EU、アジアにおける格差と貧困の問題が論じられ、現場で何が起こっているのかを教えてくれます。

第3部は「格差社会のこれから」と題し、処方箋と今後の展望が述べられています。最後に労働組合運動の大切さを指摘した1節を。「働く上で、何か困った時に頼る縁としてだけではなく、問題が起きる前、『平時』から労働組合を使いこなし、労働者の権利を錆付かせないようにしていただきたい」(203頁、執筆は全労連伊藤氏)。組合という伝家の宝刀もいざというときに錆付いていては…。

「横浜市従」第1221号(2009年2月1日)より

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