2009年6月1日(月曜日)[ あなたもワインラヴァーに ]

第4回ワインの選び方(3)「人的要素を知る」

前回までにワインの味わいに影響を与える、基本的な二大要素を紹介しました。マンガ「神の雫」的にいえば「天地人」の「天」=気候、「地」=土壌(テロワール)、を説明したことになります。ここにもうひとつ要素を付け加えるとすれば「人」=人的要素です。

「天地」がワインの基本性格に影響するとすれば、「人」は主に品質や価格に影響するということがいえるかと思います。

人的要素を具体的に挙げると、収穫・選別段階では機械摘みか、手摘みか、さらに房選別で良いものを分けるのかどうか。また房数の制限をして「天地」の恵みをより凝縮させた濃厚な産地個性の強いぶどう果実に育てるのかどうか、があります。

発酵・熟成段階では発酵容器をステンレス、木桶、コンクリート、ガラスコーティングの鋼鉄のどれにするのか。発酵酵母を野生、培養のどちらにするのか。二次発酵を発酵タンクのままか、オーク樽に変えてするのか。熟成をステンレスタンクのままかオーク樽を使用するのか。また樽は新樽か中古樽か、大樽か小樽か等、様々な人的バリエーションがあります。これに加えて、使用するぶどう品種とそのブレンド比率をどうするのかもあります。

人手や設備に費用をかければ、ぶどうの品質は向上しますがその分その後のワインの価格にも反映されます。また、これらの違いはワインの味わい・スタイルにも大きく影響しますので好みも大きく分かれます。購入時にはよく確認・検討したほうが良いでしょう。

それから、「天地」の要素に追加的影響を与える人的要素としては、ぶどうの樹の剪定・仕立ての工夫や土壌改善等もあります。

剪定で良い枝を残し新梢を密集させ、仕立てで枝を理想的な配置にして太陽の恵みを最大限に利用する方法、高緯度地域での斜めに注ぐ太陽光線を斜面栽培や仕立てで直角に注がす方法、河の水面反射で日照量を増やす方法などもあります。また広義で「ビオ」と呼ばれる無農薬・有機栽培等で、より自然な土壌に近づけ、ぶどうの樹勢を活性させて果実の健全性や力強さを高めようとする生産者もいます。そしてワインへの酸化防止剤(二酸化硫黄等)の添加量の抑制や、抜栓後の劣化抑制・長期保存に挑戦したりしています。

その他の人的要素では、評論家の評価や「神の雫」等の書籍、販売店による広告の影響等もあります。これらは商品相場や造られるワインのスタイルに少なからぬ影響を与えています。

以上、様々な人的要素を紹介しましたが、実際の試飲・購入時の参考になったでしょうか。

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「横浜市従」第1228号(2009年6月1日)より

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