2009年7月15日(水曜日)[ もし家族が認知症になったら ]

第6回「自己有利の法則」

 

自己有利の法則

認知症の方は、自分にとって不利なことは決して認めません。難しい理屈をつけて切り返して来ます。

いつも財布をしまい忘れているおばあちゃんが「財布を取られた」と騒ぎ出します。お嫁さんや娘に向かって「あんたが盗ったんだろう」と言ってきて家族はびっくりします。「また忘れたの?モー、本当にしっかりしてよ。呆けたんじゃないの」等と言われる前に人のせいにしてしまうのです。お漏らしをして、「もっと早くトイレに行けば間に合うのに!」等と言われて「私じゃない! 今、猫がしたんだ」などと見え透いたうそを言ったりします。

これは自己保存の本能がなせる業です。自分の能力が落ちたことを認めたくない。自分の責任を取りたくない。ということからきているというのです。

「何でそんなうそをつくの!!」と問い詰めれば益々頑固になるでしょう。財布をない、盗まれたと騒ぎ出したら、一緒に捜すか。同じものを用意しておいて、「あっ! 私が預かっていたのを忘れていた。すみません」と穏やかに対応してみましょう。これは認知症状の一つなのだと割り切る事が大切です。

まだら症状の法則

認知症は、はじめから何もかも判らなくなるわけではなく、初期は大部分がしっかりしています。その中で、ちょっとした異常な言動が混じってきて、家族はびっくりします。全体の症状が進んでくれば、認知症だからだと納得できるのですが、「何であんな事を言うの?どうしてあんなおかしな行動をとるの?」と混乱します。しっかりしている部分と「エッ!」と思う症状が混在している時期といえます。

“まだらぼけ状態”のお年寄りに対し、「他のことは何でも出来るのに、どうしてこんなことが出来ないの」と嘆いてみたり、「言うことだけは一人前で、やることはでたらめなんだから」と怒ったりしても何の意味もありません。本人はますます混乱し、ストレスを与えるばかりです。

だんだん進行してくるとしっかりしている事が少なくなってきます。でも、家族懇談会などで、介護者は「今日は一瞬、ぴたりとピントが合って、私のことが分かったみたいなの」とニコニコ話されることがあります。このような経過をとりながら認知症が進行していくのでしょう。

本の表紙 参考図書
「認知症アルツハイマー病介護・ケアに役立つ実例集」主婦の友社 杉山孝博著


「横浜市従」第1231号(2009年7月15日付)より

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