2009年8月15日(土曜日)[ もし家族が認知症になったら ]

第7回「感情残像の法則」

「感情残像の法則」は介護する人に、特に分かってほしい法則です。

認知症の方は、記憶障害や見当識障害によって理解力や判断力が序々に落ちてきます。しかし、人間としての感情は長い間保たれます。自己本位の世界に生きているので、喜怒哀楽の感情が正直に出てくるのです。その一方で、感情を上手く表現できないため、唐突に怒ったり、激しく反発したりします。例えば、子ども扱いにされたり、邪険にされたり、叱責されたりすると、感情を害して攻撃的になったりします。自分の言動が原因で叱られたとしても、そのことは覚えていませんから、叱られた相手に悪感情を持ってしまうのです。よい感情を抱くことが出来た人に対しては、信頼関係が生まれて、馴染みの関係が作られることも少なくありません。

細やかな神経 で敏感に反応

「家族の会」の「つどい」に参加されるご本人も、何回か来るうちに、本当に穏やかな顔になってきます。家族の方は、「ここではみなさんが自分のことをよく分かって対応してくれるので、緊張することがないから」と話されます。認知症の人は何も分からないのでなく、むしろ、細やかな神経を持って、敏感に反応しているのです。ですから、異常な言動をした時に、介護者はともすると、その行為にだけに目がいって抑えようとしがちです。頭ごなしに「そんなことをして駄目でしょ!」とか「いい加減にしなさい!」と言っても、何で叱られているか分からず悪感情だけが残ってしまうというわけです。

呆けても心は 生きている

介護者が上手く対応できるようになると、認知症の人も必ず落ち着いてきます。合わせ鏡のようだと表現される介護者もいます。介護者がカッカ、イライラしていると,認知症の人も必ずカッカ、イライラ。介護者が柔軟に穏やかに接している時は、必ず穏やかになります。ですから、次のコツを使って対応してみてください。

1つ目は、ほめる、感謝することです。
次は「ありがとう。たすかったわ」と、相づちを打つことです。「あ、そうですか。それは大変でしたね」「それはよかったですね」というように。

2つ目は共感です。どんな時も「よかったですね」と言葉の最後に付け加えるのです。「きれいな花が咲いていますね。よかったですね」という感じです。

3つ目は謝るです。認知症の人が「ご飯を食べていない」と今、食べたばかりなのに言ったら、「なに言ってるの、今食べたでしょう!」と怒らず、「あ!すみません。今、急いで作りますから、お茶でも飲んで待ててください!」といった具合です。
まさに、「呆けても心は生きている」、このことを忘れないで欲しいと思います。

「横浜市従」第1233号(2009年8月15日・9月1日合併号)より

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