2009年11月1日(日曜日)[ コラム「しじゅう」 ]

あかちゃんの力(ちから)

通勤でバスや電車を利用しているが、ここ数年は携帯電話のメールを読む、あるいは打ち込んでいる、好きなゲームなどに集中している方が圧倒的に多くなっている。さすがに通話している姿はほとんど見かけないが、新聞や雑誌、文庫本を読んでいる人は少なくなったと思う。

ただ休日の日中などは、そんな車内の雰囲気は通勤時間帯と全く異なる。

家族連れ、友人同士、あるいは恋人同士と思われるカップルなどで、楽しい笑い声や世間話に花が咲いている。

そんな情景も、もし赤ちゃんがいると一変する。偶然となりに座ったご老人などは、孫を可愛がるように目を細めて、あやしてあげたり、気さくに声をかけている。また今まで気難しそうな表情だったサラリーマン風の男性も、ニコッと笑い、表情を崩して面白い顔をわざと作って赤ちゃんを笑わせようと「にわかお笑い芸人」になっていく。そんなとき母親と思われる若い女性も、恥ずかしそうに笑顔で会釈したり、短時間であるが赤ちゃんを介してのコミュニケーションが始まる。

人見知りが強くて突然の見知らぬ人からのアプローチに戸惑ってしまう赤ちゃんもいれば、しっかり笑顔を振りまいてくれる赤ちゃんもいる。そんなときはその周囲一帯が、まるで春の陽光が射したような、暖かい雰囲気に包まれていく。

赤ちゃんそれ自身では、食事や排せつなど大人の力がなければ生きられない無力な存在であるが、周囲を明るくし、やさしい気分にさせ、ときに力を与えてくれる大きな存在に驚く。

我が国はここ何年間も、少子高齢化が加速しており、子育て支援策が急務であるのはもちろんだが、こうした赤ちゃんの笑い声や元気な姿が社会に与える力の大きさをあらためて感じている。

「横浜市従」第1237号(2009年11月1日)より

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