2009年11月1日(日曜日)[ トピックス ]

「利益優先はなじまない」足立区図書館の指定管理者問題に見る

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先日、青葉区山内図書館の指定管理者優先交渉権者に有隣堂グループが選定されました。いち早く指定管理者制度が導入された足立区において、どのような問題が起きているのか、みてみます。

8月11日、東京足立区立花畑図書館の元館長が指定管理者の(株)グランディオサービスに対し、地位の確認と未払い賃金の支払いを求めて、東京地裁に提訴しました。同社は地域学習センターの施設管理といったいわゆる「ハコ物」運営の経験はありましたが、図書館サービスの提供は全く未経験でした。

誰も経験者がいない中、08年4月からの移行を目指して、2月、3月の受託準備は想像を超える激務でしたが、何とか引き継ぎも終了し、4月1日正式に館長に就任しました。館長とはいえ、賃金は手当含めて25万円に満たず、雇用期間は1年というものであり、館長以外はすべて嘱託・アルバイトという人員体制の中、管理職としての仕事以前に、実務に忙殺される毎日で、まさに名ばかり館長そのものでした。

準備期間含め、館長自身は月100時間を超える残業・休日出勤が続く中、残業を減らすよう同社社長から注意を受けたことを機に、6月からは申告時間を40時間程度に押さえ、あとは不払い残業でカバーせざるを得ない状況になりました。それでも、会社側からは「残業を減らせ、ゼロにせよ!」との要求。仕方なく、2月からは区民サービスを犠牲にし、スタッフの残業ゼロを達成しました。

山内図書館

残業そのものは、決してやりたくてやったわけではありません。同社が区に提出した提案書通りに実践すると必然的に発生したものです。貸出冊数を増やすという提案実現のため、地域への広報活動・訪問に積極的に取り組み、来館者数・貸出冊数とも年間で8%上昇させました。また、子どもの学力向上・読み聞かせ事業といったサービス実現のため、地域の小学校、中学校、特別支援学校を訪問し、4頁の図書館だよりを毎月発行し、こうした事業集客数を2、3割アップさせることができました。区の評価も提案通りよくやっており、期待する水準に届いているというものでした。

そんな中、残業が多いとの理由から突然の解雇。提案書についても「あれは指定管理者をとるためのもの」との発言も出て、まるで余計なことはするなと言わんばかりの同社の態度です。結局、人件費を削ることで利益を出している指定管理者にすれば、超勤代が利益を圧迫し、区民サービスの向上を第一に考えている元館長が目障りだったのでしょう。

スタッフの専門性・継続性を考慮せず、利益優先で行動する株式会社が図書館運営になじまないことは明白です。

「横浜市従」第1237号(2009年11月1日)より

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