【第3回】自己責任論の壁を越えるとき(1)
横浜タバコ裁判のホームページには「頭がおかしいんじゃないか。自業自得だ」等のコメントが寄せられます。
多くの人々は喫煙が元で病気になっても「有害だと知りながら吸い続けたのだから自業自得、自己責任。国やJTを訴えるのはおかしい」と感じています。僕自身が「自業自得、自分で反省せよ、偉そうなこと言って吸っていたことをどう整理するのか」という問題に直面していたのですから、この裁判は容易ではありません。
◆タバコを売ることは病気を売ること
公然と毒物であることをあいまいにし嗜好品という日本独特の表現と扱いで、売る方は許され、病気になれば「自己責任」では、「病気を売る商品はOK、買って病気になるのはご自由です」となります。
タバコは、喫煙者の多くが重い病気になるから良くないという以前に、「吸うこと自体」がいけないのです。タバコを吸わないのに買う人はいませんが、買えば必ず吸います。吸えばますます吸いたくなるように設計された工業製品です。
◆「たばこ病」の犠牲者・井上ひさしさん
作家の井上ひさしさんが肺がんでなくなりました。神奈川新聞にも、生涯変わらぬタバコ大好き人間、「吸いたい病」(依存症)の王様ともいうべき、チェインスモーク振りが記載されていました。
吸えなくなるまでタバコ依存から抜けられませんでした。ニコチンの快感におぼれた人間の「脳」が、喫煙を求め指令してやまなくなるのです。優しく素敵な人たちが、タバコにだけは屁理屈言ってしがみつくような有様になり、ここに自業自得論の生まれる根拠があります。そして、「死ぬまで吸わせる(買わせる)」という、JTのねらい目なのです。
あれほどの賢人に、タバコの認識を誤らせるのが依存症です。生きた国民的財産を、後期(?)高齢者の入り口で死なせてしまうなんて口惜しい、クヤシイとの思いがあふれてきます。
「自業自得・自己責任だから仕方ない」のか。「まだまだ生きて仕事をして欲しかった」これが皆さんの思いではないでしょうか。
◆9割がタバコの害認識しない未成年時に吸い始める
タバコは有毒ですが、さらに、それが分かってもやめられなくなる依存症という病気に陥る、実に厄介なものです。 アメリカでは18歳までに、日本では20歳までに喫煙者の9割が喫煙を始めています。タバコの害を十分に認識しない段階で罠にはまってしまうのです。
井上さんの死を無駄にしないためにも、これを更に国民の共通認識としなければならないと思います。
以下続編
「横浜市従」第1247号(2010年4月15日・5月1日合併号)より




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