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	<title>横浜市従業員労働組合 &#187; 絵本ひらいてみませんか</title>
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	<description>「市民が主人公の横浜市政をめざして、市民の皆さんと共に歩みたい」そうした思いで日々活動している横浜市従業員労働組合のホームページです。</description>
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		<title>最終回「桃源郷ものがたり」</title>
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		<pubDate>Thu, 01 Jan 2009 01:23:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[ 
桃源郷ものがたり    文：松居 直     絵： 皋 
  
&#160;
モノクロで、だいぶ昔の外国映画です。タイトルは「シャングリラ」だったかしら。    山の奥へ奥へと探検して、夢のような土地を見つける話でし [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img style="border-right-width: 0px; margin: 0px; display: inline; border-top-width: 0px; border-bottom-width: 0px; border-left-width: 0px" title="ehon-61" border="0" alt="ehon-61" align="left" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/12/ehon61.jpg" width="260" height="252" /> </p>
<p>桃源郷ものがたり    <br />文：松居 直     <br />絵： 皋 </p>
<p>  <br style="clear: both" />
<p>&#160;</p>
<p>モノクロで、だいぶ昔の外国映画です。タイトルは「シャングリラ」だったかしら。    <br />山の奥へ奥へと探検して、夢のような土地を見つける話でした。詳しい筋書きは忘れましたが、サスペンス仕立てでハラハラしながら観た記憶があります。</p>
<p>きょうの絵本を読んだ時、真っ先にこの映画を思い出しました。シャングリラとは、桃源郷とか理想郷のこと。桃源郷は本当に存在していたのか、はたまた夢だったのか…。</p>
<p>中国、晋の時代。国は乱れ、戦争や飢饉があって皆苦しい暮らしをしていた、で話がはじまります。その前に扉に、焼き討ちや強奪、連行されたり逃避する人々が描かれています。線画で彩色もないので見過ごしがちですが、物語の導入となる大切な絵です。</p>
<p>よくよく見るとその群衆の中に主人公一家らしき姿もあります。    <br />貧しい漁師がある日、思い立って沢山の魚を手に入れようと、川上へ船を漕ぎ出します。ずんずん上って、気付くと辺り一面満開の桃の林。よい香りに導かれ更に奥へ。洞くつを見つけ、くぐって出てみると…。</p>
<p>人々が笑顔で働き、老人はゆったりと、子どもたちは快活に遊ぶ豊かで穏やかな村。そこに住むわけはやはり戦争（遡って泰の時代）から逃れ、外界とは行き来を断って暮らしてきたとのこと。</p>
<p>漁師から、次々と国が変わったことなどを溜息をついて聴く村びと。連日もてなされて過ごし、帰ろうとすると「ここでのことは口外しないで」と約束させられます。ところが…。</p>
<p>漁師の付けた目印は、そっと後をつけた村人に外され（信用されていなかったんですねぇ）、噂を聞きつけた殿様も、そののちの人たちも平和で豊かな桃源郷を、誰ひとり見つけることができなかった、という中国古代のお話です。</p>
<p>大きな絵本で、隅々まで丁寧に描かれていて、食卓に並んだ料理、生活の道具、家屋の建て方などとても興味深く読めます。</p>
<p>この欄を３年近く担当してきましたが、今回で終わります。みなさんからの「楽しみにしています」の声に後押しされ、続けることができました。ありがとうございました。</p>
<p>どうぞこれを契機に絵本に親しんでいただけますように。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1220号（2009年1月1日・15日）より</p>
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		<title>第60回「だいじょうぶ　だいじょうぶ」</title>
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		<pubDate>Mon, 15 Dec 2008 01:54:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[ だいじょうぶ だいじょうぶ    作・絵： いとう ひろし     講談社 
  
&#160;
私が赤ちゃんのころ（覚えていませんが）母の子守り唄やお話で眠りました。    心地良かったり悲しい旋律には泣いてしまった [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img style="border-bottom: 0px; border-left: 0px; margin: 0px; display: inline; border-top: 0px; border-right: 0px" title="daijoubu-2" border="0" alt="daijoubu-2" align="left" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/12/daijoubu2.jpg" width="192" height="244" /> だいじょうぶ だいじょうぶ    <br />作・絵： いとう ひろし     <br />講談社 </p>
<p>  <br style="clear: both" />
<p>&#160;</p>
<p>私が赤ちゃんのころ（覚えていませんが）母の子守り唄やお話で眠りました。    <br />心地良かったり悲しい旋律には泣いてしまったり。 </p>
<p>子守り唄には苦くて、そして嬉しかった想い出があります。もう３０年も昔のことです。 夏になると保育園では、３・４・５・歳が一緒に生活していました。    <br />私のクラスでそうしていたので、お昼寝の時に子守り唄を歌いました。すると先輩の保育士から「うっとうしいからヤメテ」の声。     <br />もちろん止めました（笑）でも心の中では大ショックです。</p>
<p>この一件を知った園長に「子どもたちのために歌ってあげて。癒やされるわよ」と励まされました。    <br />秋になって子守り唄復活！へこたれている時のおまじない「だいじょうぶ」     <br />きょうのおはなしは、このひと言がキーワードです。     <br />いじめられたり、危険な目にあったり、悩んだり、自信を失ったり…。     <br />成長する過程でたくさんの試練に合う度     <br />《おじいちゃんは、ぼくのてをにぎり、おまじないのように「だいじょうぶ だいじょうぶ」とつぶやきます》</p>
<p>毎日おじいちゃんとの散歩が世界を広げ、人や出来事とどの様に向き合うか、を知らず知らずのうちに伝えてくれます。    <br />そして難しいと思ったこと、怖かったことを克服し大きくなった「ぼく」の番。     <br />入院しているおじいちゃんの手を握り     <br />《だいじょうぶだよ おじいちゃん》     <br />あの「子守り唄事件」である人は心地良くても、別の人には耳障りとなるのを知りました。</p>
<p>何ごとにも言えることで、「自分流」を押し通すのはきついことでしょう。でも周りを見つめ、距離を置けば、ずいぶん生き易くなるだろうなぁ、と最近思うのです。    <br />《むりして みんなと なかよくしなくても いいんだって》     <br />この言葉は救いです。この本のもうひとつのメッセージでしょうか。</p>
<p>ちいさな絵本です。そのうえ見開きに４コマの絵が載っていますので、大勢ではなく子どもを膝に入れて、または、おとながしみじみ読むのもいいかもしれません。やさしい色使いと、やわらかく親しみやすい絵が心をほぐしてくれます。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1219号（2008年12月15日）より</p>
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		<title>第59回「かあさんのいす」</title>
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		<pubDate>Mon, 01 Dec 2008 03:01:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[ 
かあさんのいす    作・絵：ベラＢ・ウィリアムズ     訳：佐野 洋子     あかね書房
  

小学校の初級のころ、私には目的とか夢ってあったかしら。あったかも知れないし、何も考えずのほほんと過ごしていたのか [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img style="border-right-width: 0px; margin: 0px 5px 15px 0px; display: inline; border-top-width: 0px; border-bottom-width: 0px; border-left-width: 0px" title="絵本「かあさんのいす」の表紙" border="0" alt="絵本「かあさんのいす」の表紙" align="left" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/12/ehon59.jpg" width="244" height="202" /> </p>
<p>かあさんのいす    <br />作・絵：ベラＢ・ウィリアムズ     <br />訳：佐野 洋子     <br />あかね書房</p>
<p>  <br style="clear: both" />
</p>
<p>小学校の初級のころ、私には目的とか夢ってあったかしら。あったかも知れないし、何も考えずのほほんと過ごしていたのかも…。    <br />日記も夏休みしか書かなかったし、ウーンウーン、思い出せない。     <br />きょうの一冊は、ちいさなおんなの子が、一家に降りかかった出来事を、淡々と語ります。     <br />たぶんこのお話は、ベラ（作者）の身に起きたことなのでしょうね、家族の心情が伝わってきます。     <br />１ページ目、真ん中にポツンと一脚の椅子が小さく描かれ《かあさんの思い出のために》とあります。     <br />お母さんのこと、ずっとずっと忘れないよ、というメッセージが込められた絵本です。     <br />《かあさんはブルータイル食堂ではたらいています。ウェートレスをしています。 わたしはときどき学校のかえりに、かあさんにあいにいきます。》     <br />このお店でお手伝いをすると、店主がなかなかやるわね、とお金をくれます。それを半分「あのビン」にいれます。     <br />ある日、お母さんと買い物から帰ってくると     <br />《家のまえにしょうぼうじどうしゃが２台いました。そしてわたしの家からけむりがむくむく出ていました》     <br />おばあちゃんも猫も助かりましたが、ほかの物は全部焼けてしまったのです。     <br />何もかもなくしてしまい呆然とする一家の灰色の画面。次のページの唯一見開きの黄色とオレンジの画面には、近所の人が列になって一家に物を運ぶ様子が描かれています。     <br />食べもの、家具、食器…。     <br />読みきかせでは、「おじいちゃんが、きれいなじゅうたんをくれました」と言うと、「あっ、このひとだ！」と見つけます。もともと大きな本ではないので少人数でないと気付きませんが。     <br />沢山の品を贈られたのですが、おんなの子は疲れた母親の姿を見てお金を貯め始めます。 《すごくふわふわで、すごくきれいで、すごく大きいのを買うのです。それはバラのもようがついたビロードのいすでなくてはいけません》     <br />ビンがいっぱいになり、とうとう、思い描いていた椅子を手に入れます。     <br />目的を持って生きるってエネルギーの源ですね。     <br />最後のページは夢が叶って、おおきないすに納まった３人のスナップです。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1218号（2008年12月1日）より</p>
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		<title>第58回「木」</title>
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		<pubDate>Sat, 15 Nov 2008 01:41:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[ 木     絵：佐藤 忠良     文：木島 始     福音館書店 
  
山や森、林が明るくなりましたねぇ。木の実はどっさり、落ち葉もたっぷり。深まる秋のなかの散歩は、ほかの季節とは別格（の気がします）。    先 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img style="border-bottom: 0px; border-left: 0px; margin: 0px; display: inline; border-top: 0px; border-right: 0px" title="「木」の表紙" border="0" alt="「木」の表紙" align="left" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/11/58ki1.jpg" width="179" height="244" /> 木     <br />絵：佐藤 忠良     <br />文：木島 始     <br />福音館書店 </p>
<p>  <br style="clear: both" />
<p>山や森、林が明るくなりましたねぇ。木の実はどっさり、落ち葉もたっぷり。深まる秋のなかの散歩は、ほかの季節とは別格（の気がします）。    <br />先日、勤務しているところの自主事業で「植物ウォッチング」を行いました。森林インストラクターから、樹木や草花の地域性を学びながらの散策は好評でした。     <br />巨木の根の張りかた、こぶの説明を聴きながら思い浮かんだのが、きょうのおはなしです。 </p>
<p>《おおきな木は なにを かんがえているのかな おおきな木をえにかくと いろいろ はなしをしてくれる たっぷりと はなしをためている木のねっこ》    <br />最初のページは写真。広げたスケッチブックには大きな木の根のデッサンが映っています。描いている横顔は彫刻家の佐藤忠良さん。     <br />ロシア民話「おおきなかぶ」の絵本はみなさんご存じでしょう。登場するおじいさん、おばあさん、まご娘の顔はロシア人の特徴を捉えていて、さすがにチュウリョウさん。</p>
<p>《木のねっこは あさ ひる よる つちのなかからいつも しずかに みずをすいあげている》    <br />どっしりと逞しい根が画面いっぱいに広がっています。吸い上げた水が幹、枝梢、芽それから葉へ流れていく順を追うように話が展開します。     <br />《うでを そらにあげた木は とりがやすみにくるところ うたをうたいにくるところ》     <br />ドキッとするほど人間の姿をしています。</p>
<p>最後は仕掛けが待っています。    <br />《さぁこっちにおいで 木のぼりをしにおいで》     <br />よしっ登ってみよう、と抱きつくその木の高さ、太さが実感できる場面です。     <br />チュウリョウさんは今年96歳。最近インタビュー番組で、シベリア抑留のこと、いまの日本が壊れかけていること、を語っておいでで、毎日散歩を欠かさない元気の源は、この気骨が支えているからかしらと思いました。また絵本を作っていただきたいです。</p>
<p>「木」はその散歩で１５年間書きためたデッサンをまとめた一冊です。    <br />文章は、詩人の木島さん。絵本の翻訳も多く、ここでも「ピーターのいす」をご紹介しました。「はなをくんくん」なども優しい詩で綴られています。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1217号（2008年11月15日）より</p>
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		<title>第57回「どんぐりと山ねこ」</title>
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		<pubDate>Sat, 01 Nov 2008 07:33:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[ 
どんぐりと山ねこ    作：宮沢 賢治     絵：高畠 純     岩崎書店
  
&#160;
小学生のころ、学校の図書室で観た映画のひとつが「風の又三郎」でした。もう半世紀も昔のことです。    ドードド ドド [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img title="ehon-57" style="border-top-width: 0px; display: inline; border-left-width: 0px; border-bottom-width: 0px; margin: 0px 10px 0px 0px; border-right-width: 0px" height="244" alt="ehon-57" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/11/ehon57.jpg" width="174" align="left" border="0" /> </p>
<p>どんぐりと山ねこ    <br />作：宮沢 賢治     <br />絵：高畠 純     <br />岩崎書店</p>
<p>  <br style="clear: both" />
<p>&#160;</p>
<p>小学生のころ、学校の図書室で観た映画のひとつが「風の又三郎」でした。もう半世紀も昔のことです。    <br />ドードド ドドード…の挿入歌と、白黒の画面が鮮明に思い出されます。     <br />やはり小学校の高学年のとき、すこし離れた隣り町の小学校で観た「よだかの星」は、私には難解でした。     <br />それをきっかけのように宮沢賢治にはまりました。</p>
<p>幼いころ、毎月購入してもらっていた〈キンダーブック〉に「セロ弾きのゴーシュ」が載っていたことを、先日松居直さん（福音館書店社長）の著書で知りました。従って賢治との出会いはさらに遡るわけですが、記憶がありません。残念！    <br />思い出話はさておき、きょうの一冊は、どんぐりがコロコロ落ちる季節ですから、この本を選びました。</p>
<p>《おかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。    <br />かねた一郎さま あしためんどなさいばんしますから おいでんなさい。とびどぐもたないでくなさい。     <br />山ねこ 拝》</p>
<p>一郎は嬉しくてどんどん山に向かいます。そして奇妙な格好の男（山ねこの馬丁）に会い、この男があの間違いだらけの手紙を書いたことが判ります。一方、山ねこは堂々と威厳があり、言葉遣いも丁寧に一郎に意見を求めます。    <br />それは、ワイワイガヤガヤ集まったどんぐりたちがだれが一番偉いかで揉め、この争いに３日経っても決着がつかないことでした。</p>
<p>保育士のころ、年長組に読み聴かせた時、一番喜んだ場面です。    <br />山ねこが「きょうで３日目だ。いいかげん仲直りをしたらどうだ」すると「だめです、丸いのがえらい」「大きいのだ」「いやいやとがっているのが…」もう何がなんだか、馬丁もムチを鳴らして黙らせる、が繰り返し書かれているからです。子どもたちは繰り返し、が大好きなんです。</p>
<p>一郎の意見は「いちばんばかで、めちゃくちゃで…」が一番えらい、でした。    <br />なるほど、と山ねこがそう申し渡すと、どんぐりはしぃんと固まってしまいました。そして一郎は…。</p>
<p>赤いズボンを穿いたどんぐりたち、手足だけなのにまるで個性があるようです。    <br />賢治の作品は高価な絵本で数多く出版されていますが、私はこの「宮沢賢治のおはなし」シリーズが気軽に手に取れて好きです。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1216号（2008年11月1日）より</p>
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	</item>
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		<title>第56回「おじいさんの旅」</title>
		<link>http://www.siju.or.jp/archives/388</link>
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		<pubDate>Wed, 15 Oct 2008 01:21:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[ 
おじいさんの旅    作・絵 アレン・セイ     ほるぷ出版
  
 すこし傾いた甲板で、山高帽を押さえて立つ青年がこちらを見ています。少年の面影を残して。背後には大波がうねっています。    この表紙の絵に魅かれ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img title="絵本の表紙の写真" style="border-top-width: 0px; display: inline; border-left-width: 0px; border-bottom-width: 0px; margin: 0px 5px 5px 0px; border-right-width: 0px" height="244" alt="絵本の表紙の写真" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/10/ehon56.jpg" width="194" align="left" border="0" /> </p>
<p>おじいさんの旅    <br />作・絵 アレン・セイ     <br />ほるぷ出版</p>
<p>  <br style="clear: both" />
<p> すこし傾いた甲板で、山高帽を押さえて立つ青年がこちらを見ています。少年の面影を残して。背後には大波がうねっています。   <br /> この表紙の絵に魅かれて手にしたのが、きょうの一冊です。    <br /> そしてこれが昨年の夏取り上げるつもりを先送りした「はるかな湖」の作者と知りました。登場する父子は日本人に見えましたが、翻訳（椎名 誠）が必要なのだと思っていました。    <br /> けれど、きょうの作品は作者自身の日本語版です。</p>
<p> 本国では、自身の体験を基に絵本をいくつも出版していますので、日本でも早く紹介してほしいと願っています。   <br /> 祖父が青年時代に「世界を見てこよう」と旅立ち、いま自身も祖父と同じ道を歩んでいる、が、きょうのお話です。    <br /> おじいさんが海を渡った時代は、いつなのか記されていませんが、孫の「ぼく」が少年時代にあの戦争が始まったようです。    <br /> 《三週間も陸が見えなかった。やっとあらわれたのは、まったくあたらしい世界、アメリカだった。》</p>
<p> そして汽車、蒸気船、あるいは歩いて大陸を巡ります。巨大な峡谷や果てしない畑、高いビルや工場街などを目にした旅。様々な人種とも触れ合います。   <br /> 新しい出会いにワクワクし、故郷を思い出すことなく旅を続けます。    <br /> 中でも一番気に入ったカリフォルニアに、帰国し結婚後に２人で移住します。    <br /> 娘が生まれ成長を見ながら、ふと故郷の幼ともだちを思い出します。    <br /> 《おじいさんは、たまらなくなって家族と故郷にもどった。》</p>
<p> なつかしい景色、友…。でも、サンフランシスコで育った娘は村の生活が合わず、一家は都会に移ります。ところが年老いてみると、今度はカリフォルニアの山や川が忘れられず、戻ろうと決心した時、日本は戦争を始めます。そして…。   <br /> 移民の国アメリカでの暮らしは、決して楽しいことばかりではなかったでしょうが「一方に戻ると、もう一方が恋しくなる」が主題。</p>
<p> あとがきに「旅をすることはぼくたちを異邦人にする」とあります。私もこういう感覚を味わいたくて旅に出ます。   <br /> ２８枚の絵は丁寧に描かれ、１行か２行の文が添えられているだけですから、まるで一幅の絵画を観るようです。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1215号（2008年10月15日）より</p>
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		<title>第55回「よじはん　よじはん」</title>
		<link>http://www.siju.or.jp/archives/372</link>
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		<pubDate>Wed, 01 Oct 2008 07:08:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[ 
よじはん よじはん    文：ユン・ソクチュン     絵：イ・ヨンギョン     訳：神谷 丹路     福音館書店
  
&#160;
先日法要を営んだ際にお経を上げていただいたのは若いお坊さんでした。息子さんで [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img title="絵本の表紙の写真" style="border-top-width: 0px; display: inline; border-left-width: 0px; border-bottom-width: 0px; margin: 0px 5px 0px 0px; border-right-width: 0px" height="203" alt="絵本の表紙の写真" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/10/ehon55.jpg" width="244" align="left" border="0" /> </p>
<p>よじはん よじはん    <br />文：ユン・ソクチュン     <br />絵：イ・ヨンギョン     <br />訳：神谷 丹路     <br />福音館書店</p>
<p>  <br style="clear: both" />
<p>&#160;</p>
<p>先日法要を営んだ際にお経を上げていただいたのは若いお坊さんでした。息子さんでしょう、お父さんそっくりです。    <br />若々しい声もいいものだなぁ、と聴きながら、ふと新美南吉の童謡「こぞうさんの おきょう」を思い浮かべました。     <br />和尚さんの代わりに檀家へ出掛けた、こぞうさんのお話です。     <br />お経を忘れないように唱えながら歩いていくと、野原で兎に出会います。     <br />あそぼうよ、と誘われ遊んでいるうちにお経を忘れてしまいます。</p>
<p>兎が、それなら、と    <br />「むこうの ほそみち     <br />ぼたんが さいた     <br />さいた さいた     <br />ぼたんが さいた」</p>
<p>と唱えれば、と教えます。    <br />こぞうさんは檀家の仏さまの前で、そう歌うと聴いていたひとたちはびっくり。そして（こんなかわいいお経は、きいたことがない）と、クスクス笑いました。     <br />天真爛漫な子どもらしさのあふれたお話です。     <br />お隣り韓国の絵本にも、こんなほほ笑ましい１冊があります。     <br />４年前に描かれましたが、日本では昨年の出版です。</p>
<p>チョゴリを着た小さなおんなの子、ほのぼのしたお話にピッタリなんです。    <br />このおんなの子が、隣のよろず屋（若い人には馴染みのない言葉でしょ）に入っていく場面から始まります。     <br />《おじさん おじさん いま なんじ かあさんがきいてきてって》     <br />おじさんは時計を見上げて、４時半だ、と言います。     <br />《よじはん よじはん》     <br />と外に出ると、商品のにわとりが水を飲んでいたので、じっくり観察。堪能して、     <br />《よじはん よじはん》と立ち上がると、何か運んでいる蟻が目に止まります。ついて行くと巣穴へ。納得して     <br />《よじはん よじはん》と歩き始めようとすると、穴にいれる寸前で、トンボがくわえて飛び去ります。     <br />こんどはトンボを追いかけて…。     <br />道草をして日はとっぷり暮れました。おんなの子は心が満たされ意気揚々と帰ってきてこう言います。     <br />《かあさーん いま よじはん だって》     <br />まだ時計が家にはない、日本による植民地時代のお話です。     <br />秋の夜長にイ・ヨンギョンのもう一冊「あかてぬぐいのおくさんと７人のなかま」も、ぜひどうぞ。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1214号（2008年10月1日）より</p>
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		<title>第54回「旅するベッド」</title>
		<link>http://www.siju.or.jp/archives/343</link>
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		<pubDate>Mon, 15 Sep 2008 07:32:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[ 
旅するベッド    作：ジョン・バーニンガム     訳：長田 弘     ほるぷ出版
  
&#160;
 「なおちゃーん アミもってきたよォ」    横断歩道で信号が変わるのを待っていた４歳くらいのおんなの子が、 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img title="絵本「旅するベッド」の表紙" style="border-top-width: 0px; display: inline; border-left-width: 0px; border-bottom-width: 0px; margin: 0px 5px 0px 0px; border-right-width: 0px" height="198" alt="絵本「旅するベッド」の表紙" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/09/ehon54.jpg" width="244" align="left" border="0" /> </p>
<p>旅するベッド    <br />作：ジョン・バーニンガム     <br />訳：長田 弘     <br />ほるぷ出版</p>
<p>  <br style="clear: both" />
<p>&#160;</p>
<p> 「なおちゃーん アミもってきたよォ」   <br /> 横断歩道で信号が変わるのを待っていた４歳くらいのおんなの子が、向かいの公園に向かって叫びました。    <br /> 網を振ってピョンピョン跳びはねながら。    <br /> もう嬉しくてたまらない、という様子で青になると駆け寄っていきます。    <br /> 私までなんだかワクワクして後に続きました。    <br /> ３、４人の友だちの中のすこし年かさのなおちゃんは、チラリと見て「えーっ アミなんていらないよ」とひとこと。笑顔もありません。</p>
<p> でもおんなの子はめげずに「だってアミがないと、とれないよ」と返しました。    <br /> その場を通り過ぎながら（傷つかないといいな）とハラハラしました。あの弾んだ気分、みんなに喜んでもらえる、と跳んで帰って持ってきたのでしょうに…。    <br /> でも傷ついたのは私の方でした。たったひと言の大きさを改めて感じます。    <br /> さわやかな秋風の中でセミが鳴きアゲハ蝶が舞う夏の名残りの１日のことでした。    <br /> この夏どんな思い出が残せましたか？    <br /> 次の夏には世界１周の船旅を、が夢ですが私の代わりに、きょうのお話の中でジョージーが叶えてくれました。</p>
<p> 《あのベッドは もうちいさすぎるわ。パパといっしょにショッピング・センターであたらしいベッドをかってらっしゃい》    <br /> 途中の古物屋で古いベッドを見つけます。これはどこへでも自由に旅のできるベッド、とのこと。    <br /> ジョージーとパパが洗ってきれいにすると枕元に何か書いてあるのを見つけます。かすかな文字は読めないところも。Ｍで始まりＹで終わる「お祈りの文句」がはっきりしません。</p>
<p> 早々にベッドに入って言葉を言い当てようとしますが何も起こりません。 ところが、ある晩フワリと旅に出たのです。    <br /> ジャングルで迷子のトラを無事届けたのも、海賊から逃げられたのも、みんなベッドのおかげ。    <br /> ところが夏休み、家族で旅行に出掛けた間に留守番のおばあちゃんが…。    <br /> 「ガンピーさんのふなあそび」がよく知られている一冊ですが、バーニンガムの絵本はどれも、子どもの夢や願望を代弁して満足感を与えてくれます。    <br /> 何度も引き直したようなペン描きに、色鉛筆や水彩のほのぼのした絵が素敵。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1213号（2008年9月15日）より</p>
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		<title>第53回「山のいのち」</title>
		<link>http://www.siju.or.jp/archives/326</link>
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		<pubDate>Fri, 15 Aug 2008 01:13:23 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[山のいのち作：立松　和平絵：伊勢　英子ポプラ社 
　そろそろ夏休みも、折り返しが過ぎました。　猛暑も手伝って、戸外で遊ぶ姿が少なかった気がしますが、子どもたちは存分に夏の生活を満喫しているでしょうか。　きょうの主人公、静 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img style="border-top-width: 0px; border-left-width: 0px; border-bottom-width: 0px; margin: 0px 5px 0px 0px; border-right-width: 0px" height="244" alt="ehon-53" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/08/ehon-53.jpg" width="184" align="left" border="0">山のいのち<br />作：立松　和平<br />絵：伊勢　英子<br />ポプラ社 <br style="clear: both">
<p>　そろそろ夏休みも、折り返しが過ぎました。<br />　猛暑も手伝って、戸外で遊ぶ姿が少なかった気がしますが、子どもたちは存分に夏の生活を満喫しているでしょうか。<br />　きょうの主人公、静一は両親の海外出張のため、夏を田舎の祖父の家で過ごすことになります。</p>
<p>　祖父は少し物忘れがあり、息子と孫を取り違えますが、しっかり1人で生活しています。　孫の静一は、人と話すのが苦手。学校をずっと休んでいます。<br />　祖父が丹精した畑や山から獲れた新鮮なものを食べ、澄んだ空気や水、輝く緑やたくさんの鳥、魚に目を見張る静一。</p>
<p>　ある朝、鶏小屋が荒らされ全滅します。中の木箱に捕まっていたのはイタチ。<br />　毎日、卵を産んでいた鶏の代わりに祖父は「孫にごちそうしてやらなくちゃならないからしっかり働いてもらうよ」とイタチに言い、その木箱を川に持っていきます。<br />　水に浸けながら…</p>
<p>　《生きているものは悲しいなぁ。死ぬまでびくびくしてなぁ》とつぶやきます。<br />　イタチはやがて動かなくなり、ナイフで裂かれて皮だけにされます。肉は川の生きものたちに。</p>
<p>　最後に見届けた静一は、「かわいそうだね」と初めて口を開きます。それを、<br />《食べたり食べられたり、山の中は何もむだが無くて、全部がぐるぐるまわっているんだよ》と伝えます。</p>
<p>　竹ざおの先に結わえたイタチの皮は、振り上げられ、川に叩きつけられ、水中を泳ぎ…。ヤマベを追い出す役目を得たイタチ。</p>
<p>　静一は、この出来事をどう捉えたかは描かれていませんが、祖父の「命はぐるぐるまわっている」の言葉は胸に刻まれたのではないでしょうか。</p>
<p>　立松さんの（こう生きたいものだ）という一連の著作に通じる、初めての絵本。<br />　伊勢さんの絵は、第6回の「かさをささないシランさん」で取り上げ、再登場です（重ならないよう心掛けているのですが）。</p>
<p>　諸事情で、帰郷がかなわなかったひとも多いようですが、子どもたちが、知恵のいっぱい詰まったおじいちゃんおばあちゃんから教わることを大切にできるといいですね。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1212号（2008年8月15日9月1日合併号）より</p>
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		<title>第52回「せなかをとんとん」</title>
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		<pubDate>Fri, 01 Aug 2008 05:19:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[
 
せなかをとんとん    文：最上 一平     絵：長谷川 知子     ポプラ社
  
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 きょうの絵本を…。    「ご紹介させていただきたいと思います」。ＮＨＫのアナウンサーでも、このように言うん [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[</p>
<p><img title="ehon-52" style="border-top-width: 0px; border-left-width: 0px; border-bottom-width: 0px; margin: 0px 5px 0px 0px; border-right-width: 0px" height="244" alt="ehon-52" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/08/ehon52.jpg" width="186" align="left" border="0" /> </p>
<p>せなかをとんとん    <br />文：最上 一平     <br />絵：長谷川 知子     <br />ポプラ社</p>
<p>  <br style="clear: both" />
<p>&#160;</p>
<p> きょうの絵本を…。   <br /> 「ご紹介させていただきたいと思います」。ＮＨＫのアナウンサーでも、このように言うんですね。「ご紹介します」か「紹介いたします」でしょ？    <br /> 近頃、率直な語りかけが聞かれなくなった気がします。なぜ「…します」でなく「…したいと思います」になるのかしらね。    <br /> いままでは「ら抜き言葉」が耳障りでしたが、最近はこの「思います」に神経が反応してしまいます。    <br /> もっと、すーっと心に染み込むような言葉使いができたらなぁ、というのが私自身の願望です。</p>
<p> 《その日 しんぺいは、はじめて さかあがりができるようになりました》   <br /> ともだちのたつやは、すごいなぁ、と感心します。    <br /> だってお父さんに特訓してもらったんだもん、と誇らしく思います。    <br /> ちょうど家路につくたつやのお父さんが目に入ります。たつやが呼ぶと、お父さんは振り向いて…。    <br /> その時なぜだか、しんぺいの心がスカスカしました。    <br /> 《そうか、こういうときは よべばよかったんだ》    <br /> しんぺいのお父さんは耳が不自由。呼んでも聞こえません。だから話しかける時は背中をトントン、と叩くのがしんぺいの家族の合図です。</p>
<p> お母さんに頼まれた買い物はするし、お父さんとは手話や口語（口の形で読み取る）、筆談で会話ができるので、不便と思ったことが一度もなかったのです。   <br /> でも、たつや親子の様子から、いままで感じたことのない、たぶん切ない思い、をしたのでしょう。</p>
<p> お父さんだって、これまで不自由や疎外感を味わったでしょうし、病気さえしなかったら、と悔やんだかもしれません。   <br /> 私も片方が聞こえにくく、小声や語尾のはっきりしない人との会話が苦手です。    <br /> でも話し合うのが億劫な私と違い、しんぺいのお父さんは積極的に人と関わります。</p>
<p> そんなお父さんに「事件」が。道を訊かれて答えようとしたのに…。   <br /> 《おとうさん、ちゃんとおしえられるよ。なんできかないんだ》と抗議します。    <br /> その日、お風呂でお父さんの背中に耳をつけ「しんぺい」って呼ばないか、耳を澄ませるしんぺい。一度でいいから呼んでほしいと思いながら…。</p>
</p>
<p align="right">「横浜市従」第1211号（2008年8月1日）より</p>
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	</item>
		<item>
		<title>第51回「きりのなかのはりねずみ」</title>
		<link>http://www.siju.or.jp/archives/302</link>
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		<pubDate>Tue, 15 Jul 2008 06:32:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[
 作・ノルシュテインとコズロフ     絵・ヤールブソワ     訳・児島 宏子     福音館書店 
  
毎年のようにどこかで見ていた蛍、今年は会う機会がありません。なんだか決まりの着かない気持ちのまま、時期が終わ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[</p>
<p><a href="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/07/ehon511.jpg"><img title="ehon-51" style="border-right: 0px; border-top: 0px; margin: 0px 5px 0px 0px; border-left: 0px; border-bottom: 0px" height="244" alt="ehon-51" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/07/ehon51-thumb.jpg" width="172" align="left" border="0" /></a> 作・ノルシュテインとコズロフ     <br />絵・ヤールブソワ     <br />訳・児島 宏子     <br />福音館書店 </p>
<p>  <br style="clear: both" />
<p>毎年のようにどこかで見ていた蛍、今年は会う機会がありません。なんだか決まりの着かない気持ちのまま、時期が終わりそう。    <br />みなさんはご覧になりましたか？     <br />子どもの頃清流だった小川も、開発で大きく、そして汚れてしまいました。とても残念です。</p>
<p>自宅の眼下に、戦後６３年経って返還された米軍基地が広がっています。山や林、草原の跡地についてアイディアを募っていましたので、私は、鎖から放たれて自由に走り回れる「ドッグラン」がいい、と書きました。</p>
<p>折角の自然を人工的な物で壊したくないからですが、「蛍の棲める小川を」という願いを忘れてしまいました。果たして、どのようなプランが採用されるのでしょうか。小さな動物たちがどこかに引っ越さなくて済むようにしてほしいのですが…。    <br />さて、きょうは健気で少々のんびり屋なはりねずみのお話です。</p>
<p>《ひが しずんで、あたりが うすぐらくなってきました。はりねずみは、こぐまのいえに でかけます》    <br />ふたりでお茶を飲みながら、星を数えるのが目的。     <br />仲良しのこぐまのことを考えながら、てくてく歩くはりねずみ。     <br />出発は夜で、しかもロシアの森の中が舞台です。当然うす暗い。しかもこの夜は霧も出ていたのですから、私なら尻込みしてしまいます、きっと。     <br />小枝を杖に、先に留まった蛍に闇を照らしてもらってノロノロ進みます。     <br />葉っぱが落ちてきただけで跳びあがるほど、先の見えない不安でいっぱいの中、ボーッと白い馬が浮かびます。     <br />（霧に）溺れないかしら、と心配するのですが、足を滑らせ、自分が川に落ちてしまいます。     <br />こぐまくんが待っているだろうなぁ、とボンヤリ考えながら流されて…。</p>
<p>この絵本は、アニメーションから生まれたそうです。それを以前ＢＳ放送の「世界のアニメ」で観ました。ドキドキしたり首を傾げたり、のはりねずみのいじらしかったこと。</p>
<p>絵のたしかさが、幻想的な闇を伝えています。    <br />ふたり並んで星を眺めている後ろ姿で終わります。     <br />《しろうまさんは、きりのなかで どうしているかな》     <br />と、幸せを噛みしめながらもはりねずみは思うのです。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1210号（2008年7月15日）より</p>
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	</item>
		<item>
		<title>第50回「となりのせきのますだくん」</title>
		<link>http://www.siju.or.jp/archives/279</link>
		<comments>http://www.siju.or.jp/archives/279#comments</comments>
		<pubDate>Tue, 01 Jul 2008 01:36:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[
 
となりのせきのますだくん    作・絵 武田 美穂     ポプラ社
  
&#160;
パッと陽が差すと嬉しくて、サァ、今日は部屋の模様替えをしようか、それとも散歩に行っちゃおうか、と思案も楽しい。    でも梅 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[</p>
<p><img title="絵本の表紙" style="border-top-width: 0px; border-left-width: 0px; border-bottom-width: 0px; margin: 0px 10px 0px 0px; border-right-width: 0px" height="245" alt="絵本の表紙" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/07/ehon50.jpg" width="244" align="left" border="0" /> </p>
<p>となりのせきのますだくん    <br />作・絵 武田 美穂     <br />ポプラ社</p>
<p>  <br clear="all" />
<p>&#160;</p>
<p>パッと陽が差すと嬉しくて、サァ、今日は部屋の模様替えをしようか、それとも散歩に行っちゃおうか、と思案も楽しい。    <br />でも梅雨の真っ只中で、気分は滅入る、風邪はひく。“あぁ、カラリとしたお天気になってよー”と厚い雲が恨めしい。農家は日照りでは困る時期だから、これは自分勝手なのです。</p>
<p>何もしたくない後ろ向きの日、どうします？    <br />大人に辛くなる日があるのだから、小さな子どもにも心の塞ぐ日が。     <br />きょうは、悩みを抱え、学校に行きたくない１年生のおんなの子のお話です。     <br />《あたしきょう がっこうへいけないきがする》</p>
<p>行きたくないから頭が痛くなればいい、おなかが痛くなればいい。なのにお母さんは行くのが当然、と支度を促します。みほちゃんの恨めしそうな顔。    <br />公園に遊びに行っちゃおうかな。でも、ますだくんはきっとこう言うでしょう、「せんせー、みほちゃんがずるやすみしまーす」。</p>
<p>このますだくん、なんと恐竜の姿をしています。    <br />隣の席でいつもいじめるますだくんは、みほちゃんには恐竜のように怖い存在なのでしょうね。     <br />あたしの机に線を引いて「ここからでたら ぶつぞ」というの。     <br />あたし算数が苦手。指で足し算をしていると《せんせー、みほちゃんはてをつかってまーす》って。１０たす１１はどうするんだよって笑うの。</p>
<p>あたし給食のにんじんや鶏肉がきらい。残そうとすると「いけないんだー」って。    <br />ところが、そんなますだくんと昨日ケンカをしてしまいます。大切な誕生日プレゼントの鉛筆を折られたから。初めてやりかえしたのでますだくんはびっくり。     <br />《きょうがっこうへいったら あたしぶたれる》     <br />いつもぶたれていたのと意味が違うからドキドキ。</p>
<p>正門の陰から「ごめんよ」と言ってますだくんがぶちますが、手にはテープで直したあの鉛筆が。    <br />本当は、仲良くなりたいのに、いじめたり、いじわるしてしまう子っていましたよね。 版を重ねて人気のこのシリーズ、武田さんの想い出を綴ったのでしょうか。どれもちょっとホロ苦い絵本です。絵も、お話にピッタリのマンガのような、親しみ易さがあります。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1209号（2008年7月1日）より</p>
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	</item>
		<item>
		<title>第49回「おつきさんの き」</title>
		<link>http://www.siju.or.jp/archives/245</link>
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		<pubDate>Sun, 15 Jun 2008 01:35:44 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.siju.or.jp/archives/245</guid>
		<description><![CDATA[ 作・絵：長　しんた教育画劇

　
先日、演劇「族譜」を観ました。在日朝鮮の人たちへの謂われなき偏見や差別が在るのは承知しています。進んでドキュメンタリー番組や映画も観てきました。でも「族譜」で改めて朝鮮民族の家系や名前 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/06/ehon-49.jpg"><img style="border-top-width: 0px; border-left-width: 0px; border-bottom-width: 0px; margin: 0px 5px 0px 0px; border-right-width: 0px" height="244" alt="絵本の表紙の画像" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/06/ehon-49-thumb.jpg" width="211" align="left" border="0"></a> 作・絵：長　しんた<br />教育画劇</p>
<p><br clear="all">
<p>　</p>
<p>先日、演劇「族譜」を観ました。在日朝鮮の人たちへの謂われなき偏見や差別が在るのは承知しています。進んでドキュメンタリー番組や映画も観てきました。<br />でも「族譜」で改めて朝鮮民族の家系や名前を大切に思う気持ちが解りました。</p>
<p>　舞台は韓国。日本が支配していた時代に行われた、創氏改名をめぐる悲劇。<br />　１回目の韓国の旅は１５年前。声高に日本語で話すのは憚られた頃でした。「族譜」で描かれた歴史を理解していたら、もっと深い交流ができたのではなかったかしら。</p>
<p>　正しいこと、健やかな心、潔さ、思いやりが、どんどん、それこそ急速に失われていく日本。誇りをなくした日本人…。<br />　いつも肩に力が入ってしまう自分に気付く時、救ってくれる妙薬のひとつが、長しんたさんの絵本です。</p>
<p>以前、いつか長さんの本を紹介します、と書きました。でも膨大な数（たぶん絵本作家の中でトップ）の中から一冊、となるとウーン。で今まで手がつかなかった次第です。</p>
<p>　拘わったのは長さんが絵を担当する本ではなく、「まるごと　長さんの本」です。<br />　「なんだか分からない」が長さんの絵本。意味を求めるのはナンセンス、と言っているようです。</p>
<p>　「にゅーするする」は無気味な一冊。２歳児クラスで読んだら“怖いもの見たさ”で、出番の多い本でした。<br />　きょうの「おつきさんのき」も、ストーリーらしい筋はありません。</p>
<p>　《いっぽんの　きが、ポツンと　たっていました》<br />　遠景に山並、野原に１本の樹。樹の下に靴が置かれている場面にはひとこと、（樹が）どこかへ出掛けるのかな、とあります。　<br />　魚の形に姿を変えてゆらゆら泳いだり、山まで伸びていってタヌキと話したり。逆立ちしたり、これは健康のためなんですって。<br />　最後は、お月さんが降りてきて、樹を連れて飛び去っていってしまうのです。<br />　《また　どこかに　うえるのかな》</p>
<p>　ここで、この樹はお月さんが植えたことが判ります。<br />　長さんのニックネームは「オドロイタ・ビックリスキー」とエッセイにあります。何にでも驚くからだそうですが、長さんの絵本はどれも、こちらがビックリです。そして、いつしか心がほぐれてしまうのです。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1208号（2008年6月15日）より</p>
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		<title>第48回「コッコさんとあめふり」</title>
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		<pubDate>Sun, 01 Jun 2008 02:00:21 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[ コッコさんとあめふり
作・絵：片山　健
福音館書店

毎月、隔週で出かけるところが２つあります。
　１つは自転車で、もうひとつは４つ乗り換えていきます。
　それぞれたった２回ずつなのに、どういう訳なのでしょう、その日は [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p align="left"><a href="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/06/gfh1212631395.jpg" title="絵本の表紙の写真"><img vspace="5" align="left" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/06/gfh1212631395.jpg" hspace="10" alt="絵本の表紙の写真" /></a> コッコさんとあめふり<br />
作・絵：片山　健<br />
福音館書店<br />
<br clear="all"><br />
毎月、隔週で出かけるところが２つあります。<br />
　１つは自転車で、もうひとつは４つ乗り換えていきます。<br />
　それぞれたった２回ずつなのに、どういう訳なのでしょう、その日は雨になることが多いのです。往きは晴れても帰りは…で、たくさんの持ち物をドッコイショと下げつつ“私は世に言う「雨女」？”と思ってしまう。</p>
<p>まもなく横浜も梅雨入りで、降られる確率は増すばかり。でも嘆いても始まりません。雨を楽しむ方向に切り換えましょ。<br />
　それには、こんな絵本がピッタリ！思わず微笑んでしまいます。<br />
　登場するのはたったひとり、ちいさなおんなの子、コッコさんです。<br />
　《まいにち　まいにち　あめふりです》</p>
<p>外で遊びたいコッコさんは「てるてるぼうずがいなくちゃ」と思ったのでしょう、せっせと作ります。その真剣なまなざし。テーブルには布、糸、ハサミ、ペンが並びます。（考えてみれば、この４点セットで出来るとは、なんてシンプルなお人形でしょうか）<br />
　出来上がると「あした　てんきにしてください」と軒下に。椅子の上で爪先立って吊している後ろ姿のかわいいこと。</p>
<p>次の朝、カーテンを開けてみると…、降っています。<br />
　コッコさんは、てるてるぼうずの中に手紙を入れてみました。<br />
　それでも願いは届かず、大切にしているたからものをいっぱい入れます。テーブルの上には何やら小物があふれています。それを詰めたものだから<br />
　《てるてるぼうずは　こんなにふとってしまいました》<br />
　読みきかせでは、この場面でみんな吹き出してしまいます。<br />
　どれも功を奏さず「きっと　つかれているんだ」と布団に寝かせます。<br />
　コッコさんも疲れたのでしょうね、添い寝をしていて見た夢は…。</p>
<p>あとは読んでみてのお楽しみ。<br />
　「コッコさん」はシリーズで、いずれも「あるあるこういうこと」といった内容です。日常のエピソードに題材をとることの多い片山さん、お嬢さんがモデルなのでしょうか。<br />
　それにしてもコッコさんて響きがなんとも愛らしい。凝った名前を付ける風潮がありますが、親しみが一番！</p>
<p align="right">「横浜市従」第1207号（2008年6月1日）より</p>
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		<title>第47回「まんげつのよるまでまちなさい」</title>
		<link>http://www.siju.or.jp/archives/210</link>
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		<pubDate>Thu, 15 May 2008 00:33:08 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[訳　瀬田　貞二
絵　脇田　和
福音館書店

　　この春、連載３年目になりました。
　無尽蔵な絵本の中から１冊を選ぶのはワクワクする「作業」です。が、毎回担当者を焦らせ、悩ませながらウンウン唸って書いています。
　手元のも [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/05/gfh1211330132.jpg" title="絵本の表紙の写真"><img vspace="5" align="left" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/05/gfh1211330132.jpg" hspace="10" alt="絵本の表紙の写真" /></a>訳　瀬田　貞二<br />
絵　脇田　和<br />
福音館書店</p>
<p><br clear="all" /><br />
　　この春、連載３年目になりました。<br />
　無尽蔵な絵本の中から１冊を選ぶのはワクワクする「作業」です。が、毎回担当者を焦らせ、悩ませながらウンウン唸って書いています。<br />
　手元のもので間に合わなくなると、書店や図書館へ出掛けます。行けば、つい時の経つのを忘れて長居をしてしまいます。</p>
<p>　そんなある日、書店でのこと。「早くしなさい」という声が聞こえてきました。振り返ると、若いお母さんが４歳くらいかしら、絵本を選んでいるおんなの子に向かってのひと言でした。あれこれ迷っている様子の子どもは、一層困った表情になりました。<br />
　「早くしなさい」という言葉は保育士だった頃、日に何度も耳にしました。お母さんたちから、保育士たちから。急いでいなくても、本当なら待てなくはなくても、つい口にしがちなひと言です。<br />
　きょうの絵本はそうではなくて、はやる子どもに「まだよ」「待って」と言い続けるお母さんのお話にしました。</p>
<p>　ある月のない暗い晩のこと。「夜」を見たことのないアライグマの子どもが外へ出たい、とお母さんに言います。<br />
　けれど、お母さんの答えは「いまはだめ。まんげつになるまで　まちなさい」<br />
　耳を澄ますと聞こえてくる夜の音に、想像を膨らませるぼうやは毎日「よるをみたい」と訴えます。<br />
　お母さんはしずかに語ったり歌ったりしながら「夜」の様々な表情を聴かせます。<br />
　待つあいだに、ぼうやはからだも大きくなり、考える力もついてきます。</p>
<p>　そしてある日、きっぱりと「いいかい、かあさん。よるをみに　もりへ行ってくる」とぼうや。もう「まちなさい」とは言わず「そう、きょうは　まんげつよ」とかあさん。<br />
　「ゆとり教育」は見直しを迫られ、おとなも、こなしきれない仕事を抱えた今の日本は、どんどん歪んでいってしまう気がします。<br />
　ゆっくり子どもの成長を見守り、その時が来たことを悟れる親が増えて欲しいですね。<br />
　しずかな展開のこのお話は「おやすみなさいのほん」などブラウンの絵本に共通し、鉛筆１本で表現してしまうウイリアムの絵の確かさは「しろいうさぎとくろいうさぎ」でご存じですね。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1206号（2008年5月15日）より</p>
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		<title>第46回「おだんごぱん」</title>
		<link>http://www.siju.or.jp/archives/196</link>
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		<pubDate>Thu, 01 May 2008 10:06:29 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[訳　瀬田　貞二
絵　脇田　和
福音館書店

　小学校での読みきかせの会に、仲間が１人増えました。
　４月、１年生の教室で「とうさんかあさん」（ながのひでこ作　葦書房）を読みましたら大うけ。この様子を見てその新人さんの感想 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/05/gfh1210235146.jpg" title="えほんの写真"><img border="0" vspace="5" align="left" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/05/gfh1210235146.jpg" hspace="10" alt="えほんの写真" /></a>訳　瀬田　貞二<br />
絵　脇田　和<br />
福音館書店</p>
<p><br clear="all" /><br />
　小学校での読みきかせの会に、仲間が１人増えました。<br />
　４月、１年生の教室で「とうさんかあさん」（ながのひでこ作　葦書房）を読みましたら大うけ。この様子を見てその新人さんの感想は「毎月１年生に来てあげたいですね」</p>
<p>　でも残念なことにメンバーが少なくて次回は秋になるでしょう。その時はこれを、と考えているのがきょうの絵本「おだんごぱん」です。<br />
　ロシア民話を元に、いろいろな絵本作家が出版しています（題名は違います）。</p>
<p>　私は、この瀬田さんの訳が一番雰囲気をそこなわず、余分な修飾語がないので好きです。子どもにとっても、理解しやすいと思うからです。<br />
　長く読み継がれている「三びきのやぎのがらがらどん」や「チムとゆうかんなせんちょうさん」も瀬田さんの翻訳、となれば納得でしょう。</p>
<p>　《むかし　むかし、ひとりのおじいさんが、なにかおいしいものがたべたくなって「ばあさんや、ひとつ、おだんごぱんをつくってくれないかといいました」》<br />
　おばあさんは、家にはそんな粉などありませんよ、と素っ気ないのですが、おじいさんは、粉箱をゴシゴシひっかけばどっさりあると食いさがります。</p>
<p>　どっさりはなかったのですが、それでもやっと１つ作ってかまどで焼きます。<br />
　焼き上がり、窓のそばで冷ましますが、ここからがただのおだんごぱんではなく、感情を持ったぱんに。<br />
　《おだんごぱんはじいっと　じいっとしているうちにさびしくなって…》<br />
　コロンと椅子の上に転がり落ち、そのまま床から戸口、おもての通りへと出て行きます。　とうとう野原まで転がっていき、うさぎに会います。</p>
<p>　うさぎにパクッと食べてあげよう、と言われ「やだね」と、どうやって生まれたか、どうしてここまで来たかを歌にして聞かせます。<br />
　そしてコロコロ逃げて、次から次に動物に会い、同じ手段で煙にまきます。最後に、きつねに言葉巧みにだまされ、パクッ！　</p>
<p>　脇田さんの、茶を主にした抑えた色調の絵も、お話の展開の邪魔をしません。<br />
　しばしば「可愛らし」かったり、余計な描き込みのある絵本がありますが、その対極に脇田さんの絵はあるのでしょう。一見地味でも子どもは楽しんでいます</p>
<p align="right">「横浜市従」第1205号（2008年5月1日）より</p>
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		<title>第45回「ありこのおつかい」</title>
		<link>http://www.siju.or.jp/archives/181</link>
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		<pubDate>Tue, 15 Apr 2008 09:44:28 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[ありこのおつかい
文・石井　桃子
絵・中川　宗弥
福音館書店

　やっと先日「幻の朱い実」を読み終えました。長編ということと、これは半生記に近いものかしら、と思いを巡らせながらでなかなか進まなかったのです。
　石井さん自 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/04/gfh1208418444.jpg" title="ありこのおつかい"><img vspace="5" align="left" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/04/gfh1208418444.jpg" hspace="10" alt="ありこのおつかい" /></a>ありこのおつかい<br />
文・石井　桃子<br />
絵・中川　宗弥<br />
福音館書店<br />
<br clear="all" /></p>
<p>　やっと先日「幻の朱い実」を読み終えました。長編ということと、これは半生記に近いものかしら、と思いを巡らせながらでなかなか進まなかったのです。<br />
　石井さん自身も書き終えるのに8年を費やしたとのこと。その後、を書いて欲しい、と思っていたところへ逝去のニュース。101歳、成すべきことはした一生、ではなかったかと羨ましい気がします。</p>
<p>　石井さんのお仕事の中心は絵本や童話の翻訳です。<br />
　この欄で取り上げた絵本、バートンの「ちいさいおうち」を始め、ブルーナ「うさこちゃん」やミルン「くまのプーさん」ポター「ピーターラビット」（いずれもシリーズ）等もみな石井さんの訳で、とても数えられません。<br />
　創作の絵本は多くはありませんが、きょうの絵本は子どもたちは大好きです。なぜかは後ほど。</p>
<p>　《ある日、ありのありこのおかあさんが　ありこにいいました》<br />
　ありこちゃん、お母さんが森で拾った草の実を、おばあさんに持っていってね。道草をくわずに…。かの有名なおはなしにそっくり。<br />
　やはりお母さんとの約束を忘れあっちこっちのろのろ歩いていて、木の根に巻きついた草を引っ張ったことが事件の発端。<br />
　引っ張ったのは草ではなくかまきりのきりおの足で、怒ったきりおにペロリ。おなかの中のありこが「ばかぁ！」と言い「だまれ、うるさい！」ときりお。それを聞きつけた動物が次々と呑み込んで…。</p>
<p>　それぞれがおなかの中で叫ぶ「ばかぁ！」「とんちき！」「わるものぉ！」に大笑い。この悪い言葉が何度も繰り返されるのですから、子どもたちには痛快この上ないでしょうね。<br />
　最後にくまきちのお母さんが「悪いことを言ったのはおまえね」とお尻を叩くたび口から次々飛びだして。</p>
<p>　ありこはおばあさんに届け、今度は真っすぐお家に帰りました、とさ。<br />
　大きな画面の中の、小さなちいさなありこは、まるで表情が描かれているかのようです。中川さんの水彩画は、いつものように柔らかで情感が伝わってきます。<br />
　ピーターラビットを訳した際「きびきびとし、一片のこびもない文章の味わい、リズムを訳し得た自信はとてもない」と言われましたが、ありこ、にはそれがあると感じました。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1204号（2008年4月15日）より</p>
]]></content:encoded>
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	</item>
		<item>
		<title>第44回「 すてられた　いぬ」</title>
		<link>http://www.siju.or.jp/archives/160</link>
		<comments>http://www.siju.or.jp/archives/160#comments</comments>
		<pubDate>Tue, 01 Apr 2008 08:46:52 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[ すてられた　いぬ
文・絵　カーチア・ゲーアマン
訳　佐々木　田鶴子
講談社

　
なかなか遠出が叶わない私は目にしていないのですが、友人とのおしゃべりから、ドライブインでのゴミ捨てが一層進んでひどい状況になっている、と [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p align="left"><img vspace="5" align="left" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/04/gfh1207620156.jpg" hspace="10" alt="絵本「すてられた　いぬ」" /> すてられた　いぬ<br />
文・絵　カーチア・ゲーアマン<br />
訳　佐々木　田鶴子<br />
講談社<br />
<br clear="all" /></p>
<p align="left">　</p>
<p align="left">なかなか遠出が叶わない私は目にしていないのですが、友人とのおしゃべりから、ドライブインでのゴミ捨てが一層進んでひどい状況になっている、と聞きました。<br />
　持ち帰りがなぜできないのかしら。自分のゴミ（だけじゃありません）に責任を持たない大人たち、そしてそれを見て育つ子どもたち、あぁ、日本はどんな国になってしまうのでしょう。<br />
　でもゴミならまだ許せます。捨てられたのは犬、きょうの絵本の主人公です。</p>
<p align="left">　《ぼく、かいぬしに　すてられちゃったみたいだ。これから　ひとりぼっちでいきていくのかなぁ…》とカバーの内にあります。<br />
　ある夏の暑い日に、車で遠いところまで乗せられて「ほら、ここでおりるんだよ」と言われます。遊んでくれるのかな、と木の枝を探しに行って戻ってきたら、そこには家族の車は見あたりません。<br />
　隠れているのかなぁ、それともぼくのこと忘れて家に帰ってしまったのかしら。そうだとしたら、家はどっち？…。</p>
<p align="left">　疑うことを知らないこのブチの犬の、身の上に起きた様々な出来事をゲーアマンは淡々と語ります。<br />
　それがかえって哀しくなります。途方に暮れながら歩いて歩いて海辺に出ます。<br />
　もしかしたらここに、と走り回って探すのですが、追い払われたり怒鳴られたり。だんだん人間不信になっていきます。<br />
　家族の行方を尋ねた犬の「おまえ、すてられたんだよ」と決定的なひと言。<br />
　《ぼくは　はらがたって　それから　とてもかなしくなった。ほんとうに、ぼくをほったらかしにして、みんなかえってしまったんだろうか》</p>
<p align="left">　犬のほうは家族と思っていたのに、家族はいとも簡単に捨ててしまった…。<br />
　もう人間なんてみたくない、ひとりで生きていける、という思いを覆させたのは潜り込んだ船の船長。</p>
<p align="left">　「きみがいてくれて嬉しいな。海の上ではひとりぼっちだから」<br />
　01年に「世界絵本原画展」で最高の賞を受けたゲーアマンの絵は「思いのまま描きました」という感じでしょうか、伸びやかで気持ちがいいのです。<br />
　最後のページには、大うなばらを蒸気を吐きながら進む船、船首には行く手を見つめる、あのブチの犬が。とても幸せそうな顔で。 </p>
<p align="right">「横浜市従」第1203号（2008年4月1日）より</p>
]]></content:encoded>
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	</item>
		<item>
		<title>第43回「あたしも　びょうきに　なりたいな！」</title>
		<link>http://www.siju.or.jp/archives/122</link>
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		<pubDate>Sat, 15 Mar 2008 04:27:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[あたしも　びょうきに　なりたいな！
作・フランツ・ブランデンベルグ
絵・アリキ・ブランデンベルグ
偕成社

　黄砂、花粉の飛散、何がいけなかったのか弱ったところで風邪をひいてしまいました。それだけなら許せるけど、中耳炎に [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/03/gfh1206332953.jpg" title="絵本の写真"></a><a href="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/03/gfh1206332953.jpg" title="絵本の写真"><img vspace="5" align="left" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/03/gfh1206332953.jpg" hspace="10" alt="絵本の写真" /></a>あたしも　びょうきに　なりたいな！<br />
作・フランツ・ブランデンベルグ<br />
絵・アリキ・ブランデンベルグ<br />
偕成社<br />
<br clear="all" /><br />
　黄砂、花粉の飛散、何がいけなかったのか弱ったところで風邪をひいてしまいました。それだけなら許せるけど、中耳炎になり洗顔するのも耳に響いてうっとうしいこと！<br />
　あぁ、あの時無理しなければよかった、と悔やんでもあとの祭り。<br />
　保育士時代は熱を出しても頑張れたのに（決して良いことではありません）…。<br />
　病気、で連想するのは憂鬱、不自由、不快etc。感じ方は人それぞれですが、どうしてもマイナスイメージですよね。</p>
<p>　でも、きょうの絵本は、その病気になりたいおんなの子、エリザベスのお話です。<br />
　《エドワードがびょうきになりました。おかあさんは、ごはんをベッドに　はこんでくれました》<br />
　お父さんは冷たいタオルを当ててくれるし、おばあちゃんは本を読んでくれるし、おじさんおばさんからはお見舞いの電話がかかってくる。それなのにあたしは、何でも全部自分でやり、学校へ行きピアノの練習もお手伝いも…。<br />
　《あたしも　びょうきになりたいなあ！》</p>
<p>　すると数日後、ほんとうに病気になってしまいます。<br />
　家族はエドワードと同じように、手当や気遣いをしてくれます。<br />
　それでもみんなが元気に動いているのを羨ましいと思うエリザベス。<br />
　エドワードが、きょう1日どんなことをして過ごしたかを話してくれます。<br />
　それは元気な時エリザベスが面倒と思ったことばかり。そこで<br />
　《ずるいなぁ、もう！　エドワードばっかり　いろんなことができて》<br />
　ブランデンベルグ夫妻には2人のお子さんがいて、この本が生まれた76年（日本では83年出版）ころのエピソードだったのかしら。</p>
<p>　アリキの絵は、見過ごしてしまいそうな物がさりげなく描かれています。<br />
　たとえば、毎日おでこのタオルの柄が違っていたり、おばあちゃんの読んでくれる本。場面ごとに発見があります。それよりなにより、ムキになってピアノを弾く、いやいやカメの世話をする、熱に浮かされているなどのエリザベスの表情が可愛いんです。仔猫、というのを忘れてしまいます。<br />
　回復して「いやだったこと」を楽しんでいるエリザベスのように、私も治ったら前向きになるぞ！</p>
<p align="right">「横浜市従」第1202号（2008年3月15日）より</p>
]]></content:encoded>
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	</item>
		<item>
		<title>第42回「生物の消えた島」</title>
		<link>http://www.siju.or.jp/archives/73</link>
		<comments>http://www.siju.or.jp/archives/73#comments</comments>
		<pubDate>Sat, 01 Mar 2008 09:02:10 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.siju.or.jp/archives/73</guid>
		<description><![CDATA[文・田川　日出夫
絵・松岡　達英　
福音館書店
　先日、近くの工業地帯を自転車で走っていたら、建物の脇にポチッと小さな黄色い点が目に入りました。えっ、もしかしたらとUターン。やっぱり。コンクリートのひびに咲いた一輪、この [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img vspace="10" align="left" src="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/03/1201-ehon.jpg" hspace="10" alt="絵本「生物の消えた島」" height="240" />文・田川　日出夫<br />
絵・松岡　達英　<br />
福音館書店<a href="http://www.siju.or.jp/wp-content/uploads/2008/03/1201-ehon.jpg" title="絵本「生物の消えた島」"></a><br />
<br clear="all" />　先日、近くの工業地帯を自転車で走っていたら、建物の脇にポチッと小さな黄色い点が目に入りました。えっ、もしかしたらとUターン。やっぱり。コンクリートのひびに咲いた一輪、この春はじめてのタンポポでした。風に乗った種がこんな場所にも根付いたのでしょうね。<br />
　けなげに頑張る命を伝えたくて選んだ、久し振りの科学絵本です。</p>
<p>インドネシアのたくさんの島の中でも、ほんとに小さなちいさなクラカタウ島が舞台です。<br />
　ここは火山島です。100年以上も昔のこと、山から煙が立ちのぼり、その3か月後に、上空5万メートルまで火山灰が吹き飛び、津波の高さは40メートルの大爆発が起きます。灰は世界中に飛んでいったとのことですから、噴火の大きさがおわかりでしょう？　そして島の大半を失いました。</p>
<p>1か月後の調査で、何ひとつ生物が見あたらない「死の世界」だと判りました。<br />
　3年後に、わずかにコケが生え、10年経ち、海岸線にそって周りの島から流れ着いた種子が芽を出します。植物たちはやがて落ち葉になって、火山灰と混じってバクテリアを生じ、土になります。</p>
<p>ここで土の成り立ちを、子どもたちは学ぶことになりますね。黒い土を見ると、「美味しそう」と思ってしまいます。畑がほしいけれど、今のところプランター栽培で我慢、です。<br />
　栄養分を含んだ土は、植物を生み、育て、実が成って、鳥が来てついばみ、種を落とし…。</p>
<p>流木に乗って小動物も辿りつき「死の世界」が、豊かな島に生まれ変わります。<br />
　絵は松岡さん。森や海の生きもの、植物や動物、あらゆる自然物の図鑑は、ご存じの方も多いでしょう。<br />
　椎名誠著「アメンボ号の冒険」の挿絵も描いていて、こちらもお薦めです。子どもの世界に浸れること受け合いです。</p>
<p>丁寧な細密画ですが、遊びもあって楽しいのです。図鑑が好きになるでしょう。<br />
　見開きの左には著者の田川さん（似顔絵）の講義の様子が進行役になっています。<br />
　最後のページは、熱帯の動植物があふれています。<br />
　添えられた文章は「クラカタウ諸島は、実験室ではできない、長い時間をかけて起こる生物の世界の変化を、私たちに教えてくれているのです」</p>
<p align="right">「横浜市従」第1201号（2008年3月1日）より</p>
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		<title>第41回「動物会議」</title>
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		<pubDate>Fri, 15 Feb 2008 06:13:23 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[動物会議
ユーリヒ・ケストナー：作
ヴァルター・トリアー：絵
池田　香代子：訳
岩波書店

うららかな日と冷え込む日が交互にあって、それでも確実に春がやってきます。
　次から次へと花が開き、心が浮き立ちます。地球に生まれ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://118.82.88.226/wp-content/uploads/2008/02/1200-ehon.jpg" title="絵本「動物会議」"><img vspace="10" align="left" src="http://118.82.88.226/wp-content/uploads/2008/02/1200-ehon.jpg" hspace="10" alt="絵本「動物会議」" height="240" /></a>動物会議<br />
ユーリヒ・ケストナー：作<br />
ヴァルター・トリアー：絵<br />
池田　香代子：訳<br />
岩波書店<br />
<br clear="all" /></p>
<p>うららかな日と冷え込む日が交互にあって、それでも確実に春がやってきます。<br />
　次から次へと花が開き、心が浮き立ちます。地球に生まれて、日本に生まれて良かった、と実感する季節ですね。こうして自然を愛でる気持ちは平和であればこそです。<br />
　いま、地球の上に起きている戦争や紛争は、いったい幾つあるのでしょう。そこで苦しむ人々に明日への希望はあるのでしょうか。</p>
<p>　きょうの絵本は「点子ちゃんとアントン」などでご存じのケストナーが49年、戦後わずか4年後に出しました。ドイツ人ならではの、書かずにはいられない、という大作です。　ここは北アフリカのチャド。ライオンのアーロイス、キリンのレーオポルト、象のオスカルは、ひとつのニュースを耳にします。<br />
　それは戦後4年、新たな戦争が始まるらしいということ。<br />
　戦争でひどい目にあうのはいつも子どもたちなのに、おとなは「子どもたちの未来のために」と言う。なんて図々しい！と動物たちは憤慨します。</p>
<p>　なんとか戦争を止めさせなければ、と考えて出した答えは「動物会議」。<br />
　人間たちの「世界外相会議」が開かれているケープタウンに、こちらも全世界の動物の代表を集めるというもの。<br />
　ここから多くのページを割いて、どのような準備や努力で集まるのかが展開します。細かいところまでユーモラスに描き込まれていて、ふと「カラスのパンやさん」（かこさとし著）を思い浮かべてしまいました。<br />
　熱心な討論のあと、アピールを発表します。</p>
<p>　「子どもたちの未来がこれ以上壊されるのを黙ってみている訳にはいかない」。<br />
　だいじなことを決めるのは書類じゃない。権威の象徴のような軍服（制服）は無くす、など。<br />
　動物たちは、どんどん実行に移します。痛快です。<br />
　ダメなおとなから親の資格を取り上げ、子どもの園をつくります。とうとう首脳たちは、動物の提案した条約に調印し、戦争は未然に防げたのです。</p>
<p>　その条約には、戦争の放棄・武器の廃棄などがあります。日本国憲法と重なりますね。　85ページもの長いお話で、活字も多く絵本としてはボリュームがありますが、ぜひ親子でどうぞ。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1200号（2008年2月15日）より</p>
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		<title>第40回「セレスティーヌのおいたち」</title>
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		<pubDate>Fri, 01 Feb 2008 05:02:22 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[絵本ひらいてみませんか]]></category>

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		<description><![CDATA[セレスティーヌのおいたち
作：ガブリエル・バンサン
訳：もり　ひさし
BL出版

　新たな年を迎えて、今年こそ痛ましい事件が起きませんように、と願いました。
　でも、毎日まいにち目を覆いたくなるニュースが流れます。中でも [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://118.82.88.226/wp-content/uploads/2008/02/1191-ehon.jpg" title="セレスティーヌのおいたち"><img vspace="5" align="left" width="240" src="http://118.82.88.226/wp-content/uploads/2008/02/1191-ehon.jpg" hspace="10" alt="セレスティーヌのおいたち" /></a>セレスティーヌのおいたち<br />
作：ガブリエル・バンサン<br />
訳：もり　ひさし<br />
BL出版<br />
<br clear="all" /></p>
<p>　新たな年を迎えて、今年こそ痛ましい事件が起きませんように、と願いました。<br />
　でも、毎日まいにち目を覆いたくなるニュースが流れます。中でも、家族のあいだで生じる事件は、親子の繋がりの希薄さを物語って悲惨です。<br />
　ちょっと立ち止まって、考えたり反省したりするゆとりが、失われていく時代なのでしょうか…。<br />
　きょうは、何をおいても心が暖かくなる絵本を紹介したくなりました。</p>
<p>　いつも変わったことを思いつくセレスティーヌと、振り回されながらいつしか一生懸命になるアーネストのお話が、20冊余りのシリーズになっている「くまのアーネストおじさん」のうちの1冊です。<br />
　《このこが　ききたいことは　ぼくが　ずっとまえから　かくごしてきたことなんだ》　来るべき日が来た、と感じるアーネスト。<br />
　《わたしが　しりたいのは　どんなふうに　うまれてきたかってこと》<br />
　言いかけては、ためらっていたけれど勇気をふるって訊くセレスティーヌ。<br />
　傷つけないように遠回しに答えますが、セレスティーヌは質問責めにします。</p>
<p>　そして明らかになったのは－<br />
　掃除夫のアーネストは、広場のゴミバケツの中に捨てられていた生まれたばかりのねずみを見つけます。<br />
　雨の日だったことが一層哀しみを誘うシーンです。</p>
<p>　その日からアーネストの献身的な育児が始まります。<br />
　目があいた日。哺乳ビンでミルクを飲んでくれた日。それを書いたノートがどこかにある筈。<br />
　《あった！ぼくがセレスティーヌのことをかいたノートだ》<br />
　《これ　みんな　わたしのこと？》<br />
　見つかった広場に連れて行ってもらったセレスティーヌは、そこで<br />
　《あなたが　わたしをみつけてくれて　よかった》<br />
で、この長いシリーズの幕が下ります。</p>
<p>　ゴミバケツに入れたのはパパとママ？の問いに、世話するゆとりがなかったのかも…。そしてぼくには、そのゆとりがあった、の答えにメッセージが込められている気がします。<br />
　バンサンの絵本は、しぐさや目の表情もデッサンが的確で、淡い色彩も美しい。2000年に亡くなってしまったことが残念です。</p>
<p align="right">「横浜市従」第1199号（2008年2月1日）より</p>
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