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見解・資料

「放課後キッズクラブ」は、学童保育にはなりえない−放課後キッズクラブ事業に対する横浜市従の見解

2004年6月
横浜市従業員労働組合
同学童保育対策委員会

同学童保育指導員支部


 2004年9月から、市内18区の半分の9区で、1区1校、遊びの場(はまっ子ふれあいスクール)と生活の場(学童保育)を融合した、新事業「放課後キッズクラブ」が開始されます。


 昨年9月有識者の委員で構成された「子どもたちの放課後懇話会」で子どもたちの放課後の施策が検討され、12月に提言「放課後児童育成施策の方向性について(子ども達の放課後ルネッサンス)」が出されました。


 その後、この提言に沿うものとして、放課後キッズクラブ事業の予算が新年度予算に計上されました。現在、職員の募集、研修、施設改修工事と、9月開始をめざして、急ピッチで進められています。


 これらの動きは学童保育事業の継続と指導員の雇用に重大な影響がでてくると考えられます。横浜市従として、学童保育対策委員会を立ち上げ運動を展開していきます。


 留守家庭の子どもたちにとっての現時点での問題点にふれながら、放課後キッズクラブ事業に対する見解とします。


1. 学童保育、はまっ子ふれあいスクールの両事業の検証がないのに、なぜ新事業なのでしょうか


  昨年、子育て支援事業本部は、学童保育について、100万円、「はまっ子」について100万円のあり方検討費がついたこと、懇話会で検討が始められることを発表しました。しかし、学童保育の関係者や「はまっ子」の関係者を委員にという要求にも「生々しすぎるから」などという理由で排除し、当局のごく一部の意見聴取のみでした。懇話会の中では両事業の検討は一切ないまま、新事業が始められようとしています。 両事業の検討は、2004年度に行うとしていますが、懇話会の前から、新事業という結論が決まっていたように感じられます。

 

2.遊びの場と生活の場の融合は間違っているのではないでしょうか


 懇話会やシンポジウムでも、「融合を」と言う意見はなく、いろいろなニーズに合ったさまざまな場が保障されるべきと言う意見が出ていました。しかし、まとめの中で、「遊びの場と生活の場を分けるのはおかしい」とされ、十分な検討もなく、提言に盛り込まれました。


 留守家庭の子どもたちには、「ただいま」と帰ってきたときから、ほっとできる家庭に代わる対応が必要です。17時までは、全児童対策の、遊びに来ただけの子と同じプログラムでよいというのは、子どもの気持ち、親の思いを考えないものではないでしょうか。


 つまり、遊びたくないときは家に帰ればいい全児童対策の子どもたちにとっては、ただの遊びの場、でも、留守家庭の子どもたちには、元気がないとき、聞いて欲しいことがあるとき、甘えたい時、親の代わり、家庭の代わりになる場でなければならないのです。同じ子どもでも、思いはぜんぜん違うのに、放課後の子どもというだけでくくっていいのでしょうか。


 私たちは、留守家庭の子どもたちが安心して、生き生きと生活していくには、次の7項目すべてが満たされなければならないと考えています。


1) いつも同じ指導員がいる。
2) いつも同じ仲間がいる。
3) 保護者、指導員、子どもたち、みんなで作る生活がある。
4) 保護者の労働日、労働時間に見合った開設日、開設時間
5) おやつの提供
6) 生活の場に必要な内容を備えた施設
7) 地域とのかかわりのある生活


 この中で、もっとも大切なことは1)、2)、3)の項目です。そして、キッズクラブが満たせない条件がこの3つだと考えられます。


(1)いつも同じ指導員がいる


 キッズクラブの、主任と指導員は週30時間労働、補助指導員はアルバイトで、毎日日替わりです。そして、主任も指導員もアルバイトも一年契約です。更新は4回までということですから、長くても5年で交代です。


 学童保育の指導員も一年雇用ですが、父母、運営委員会は指導員に勤続給をつけたり、中小企業退職金共済に入るなど、長く勤続できるようにと努力しているところがたくさんあります。10年20年と続けている指導員もたくさんいます。なぜなら、同じ指導員が「おかえり」と迎えてあげることで、まず、自分の居場所に帰ってきたという気持ち、ほっとできる気持ちになれるからです。長いかかわりの中で、子ども一人ひとりの性格や好みを知り、信頼される関係を作っていることが子どもを安心させるのです。


(2)いつも同じ仲間がいる


 キッズクラブは、全児童対策の「はまっ子」に来ている子どもが、大半を占めることが見込まれ、週2日だけだったり、自由に休んだり、帰りたい時に帰ることもあるわけで、留守家庭の子どもたちから見たら、家の中に、毎日、入れ替わり、立ち替わり違う子どもが遊びに来るようなもので、落ち着きのない毎日になるのではないでしょうか。


 学童保育では、逆に大半の子どもが毎日、いっしょに遊んだり、さまざまな取り組みをする中で、大きい子が小さい子に教えたり、いっしょに楽しんだりして、仲間意識を育て、昼間の兄弟姉妹となっています。だからこそ、自分の居場所があり、生き生きと過ごせるのです。


(3)保護者、指導員、子どもたち、みんなで作る生活がある


 キッズクラの運営主体は、現在は主にボランテイア協会で、将来はNPO法人や企業にも任せるといっています。指導員は法人の職員となります。保護者会は作っても、中味についてどこまで、保護者の意見が生かせるのか、不透明です。今の「はまっ子」の大半がそうであるように、学校内でやるのだから安心と、子育てが「お任せ」になってしまう可能性が大きいのではないでしょうか。


 学童保育では、保護者と指導員が共に「学童保育が子どもたちにとって楽しい場となるよう」地域の運営委員会の協力を得ながら、主体的に運営しています。子どもたちは、異年齢集団であるからこそ、大きい子から小さい子へ遊びや生活の技を伝えたり、助け合ったりすることの大切さを日常的な生活の中で、学んでいきます。親もその中で、親同士がつながることが、子どもたちを健全に育てる上で重要な要素であることを学んでいます。子どもにとっては、大人に守られ、育てられる「地域」としての役割を学童保育が担っているのです。留守家庭の子どもたちのためには学童保育こそ、行政が責任を持って増やしていくべきではないでしょうか。

 

3.指導員の役割と5年で解雇の不合理性


 懇話会の中でも指導する大人の力量が重要視される発言が多くあります。しかし、新事業の職員募集によると、1年契約で、更新は4回まで、つまり5年の雇い止めです。子どもを指導するにはキャリアを積まなければ力はつきません。5年までというのはキャリアを必要としない仕事ということになります。また、仕事の内容は、事務的な総括の仕事を主任、指導員が行い、子どもに関わる部分は、主に研修も少ない補助指導員やボランテイアを日替わりで予定している、ということは毎日、違う大人が関わることを意味しています。指導員の力量の大切さと矛盾する体制ではないでしょうか。

 

4.民間の参入も視野に入れ、営利追求も認めた方向


  当局は2年後には民間企業の参入も認め、いろいろなやりかたで競っていいものとし、「塾や習い事もオプションで、その部分で儲けてもらえばいい」と言っています。放課後の子どもたちの発達に見合ったプログラムを用意すると言いながら、「プログラムはあくまで標準的なもの」と言っています。中身は企業まかせでいいのでしょうか。安定した運営、事業の継続性から考えても問題があるのではないでしょうか。

 

5.九月開始をめざした強引な進め方


 はまっ子でも、専用スペースがないところが107校もあるという現状に、9校とはいえ、2教室分のスペースを確保するのは大変です。キッズクラブが始まる学校のはまっ子は、検討もされずに廃止され、キッズクラブが始まります。学童保育への影響は極力抑えるといいながら、対象の主力校(その学童保育の半分以上に近い子どもがその学校から来ている)も9校の中に何校か入っています。しかも、プログラムが何も決まらないうちから、職員募集、夏には研修や施設の改修工事など、どんどん進められていきます。プログラム検討の第二次懇話会は、本当にキッズクラブの内容に生かされるのでしょうか。

 
6.学童保育の充実・発展こそが求められている


 これらの点から、放課後キッズクラブは、家庭に代わる場を求めている留守家庭の子どもと保護者のいる家に帰れる子どもの状況の違いを踏まえず、放課後の子どもという視点のみで一体化するもので、留守家庭の子どもたちが本当に安心して過ごせる場とならないのではないでしょうか。したがって、留守家庭の子どもたちには、今の学童保育の充実・発展こそ、求められていると私たちは考えています。


 
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