民主的な自治体と公正な社会へ

 横浜市従業員労働組合の組合員は、毎日、人口約376万人の大都市横浜で、市民のくらしと命と財産、地域社会の安全を守っています。たとえば、高齢者や障害者の自立生活を支援し、公衆衛生を保ち、子どもたちを保育し、患者をケアし、政策分野ごとに分かれた局・統括本部で大規模な施策を調整する。または、そのそれぞれが連携し合うのが、わたしたちの仕事です。わたしたちは、横浜市の市庁舎、区の総合庁舎、児童相談所、土木事務所、保育園、図書館、市立病院、公園、水再生センター、公設卸売市場、学童クラブなどで働いています。

 組合員の職種、性別、出身地、考え方は様々ですが、市民とヨコハマの街のために働きたい、市民と自身にとっての良い仕事がしたいという気持ちが、わたしたちを横浜市従業員労働組合に強く結びつけています。

 わたしたちは、全員制の市立中学校給食を実現するために、すべての子どもたちを対象にした制度へ小児医療費助成を拡充するために、出産費用の公的助成を増額するために、高齢者の公共交通アクセスのために、市民との共同で山中竹春市長の公約実現を促進する政策宣伝などにも取り組み、成果を上げています。

 わたしたちはまた、組合に固く団結することによって、隣で働く非正規雇用の職員を含む、横浜市役所とその関連職場に働く労働者の賃金、有給休暇、その他の多くの労働条件と福利厚生および職場環境の改善を勝ち取っています。

 生まれたところや、育ってきた環境、愛する家族の有無といった違いに関係なく、わたしたちは皆、市民生活のために働いています。組合員が集まると自然に始まる気軽なおしゃべりの中に、仕事の知識や技能を獲得し地域社会を住みやすくする力と、職場を働きやすい市民にひらかれた場所にする力があることを、わたしたちは知っています。

 わたしたちは、“全体の奉仕者”として、とりわけ横浜市民のための奉仕者として、生活と地域社会に関する、個人の力だけでは不可能な改善に力を合わせる横浜市の自治体労働者、および公務公共関連労働者です。

市民のための市政をつくる

 生産年齢人口の減少、グローバル化の進展など、めまぐるしい環境の変化は、地方自治体にとって乗り越えなければならない多く大きな課題を提起しています。また、高度化、複雑化する市民ニーズと社会的要請に応えるには、いかなる仕事にも、常に緊張感を持って臨む必要があります。
 いくつかの根幹となる政策に比べれば目立たない仕事でも、市民に寄り添い、丁寧に共感を広げていくことは大切です。どんなに些細でも市民に喜ばれる仕事をすることが私たちの公務員としての本来の要求であり、市民の共感を得ることで私たちの雇用と労働条件への理解も広がるからです。
 横浜市従業員労働組合では、“市民が主人公のこんな地域と職場をつくりたい”を形にするために、市民との協同をすすめています。

働きつづける土台をつくる 

 今日、一般には公務員の労働条件は優れて安定していると言われています。反面、初任給をはじめとする若年層の賃金は、大都市ヨコハマで生活するに贅沢な暮らしができる水準には距離を感じるかもしれません。しかし、学歴差別がないこと、性別を理由とした間接的な差別がほとんどないことから、横浜市役所の給料表と昇給制度は、誰もが生涯にわたって納得と誇りをもって働くことができる土台となっています。
 結婚、出産、育児などの基礎的な要求を叶えながら働き続けられることで、私たちは住民生活の実相を想像できる職員として成長します。横浜市従業員労働組合では、市民に信頼される仕事、血の通った制度運用を考え行動する職員になるために、労働条件の維持改善に取り組んでいます。

世界の仲間と未来をつくる

 継続する覇権主義、軍事的挑発と圧力、内戦、虐殺、ひとつひとつ取り上げられることのない命の軽さ―。
 日本にも戦前、見紛う歴史がありました。召集令状を配ること、兵役を逃れる住民を監視することは、公務員の仕事でした。徴兵の順番を決める名簿の作成過程で、自治体職員による思想調査が活用されたことも史実です。
 横浜市従業員労働組合は、再び惨禍が起こることのないようにすることを決意し、国際社会において名誉ある地位を占めたいと思った戦後の日本と歩んできました。私たちは、地域に暮らす人々すべてが平和のうちに生存する権利が満たされ、希望ある未来を想像できる、公平で公正な社会を実現するために、国内・国外に働く仲間との連帯を重んじています。

綱領