2019年11月15日(金曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第163山】岩木山 1,625m(青森県)「キング・クィーン・ジャック、そして」

 津軽富士こと岩木山。同じ東北の岩手山と混同している人は多いかもしれない。どちらも雄大な裾野を引く火山であり、地元で深く親しまれている名峰であることは同様だが、その立ち位置が些か違う。一端が山脈に連続している岩手山に対し、岩木山はほぼ平野に独立してそびえており、その点では富士山に通じるものがある。富士山と違うのは、山頂部が岩木山主峰・鳥海山・餓鬼山の3つのピークから成っていることだ。この3峰の絡みこそ、岩木山らしさの要因なのである。

 東側:弘前市街から眺めると、最高峰である中央の主峰が、左右に鳥海山と餓鬼山を従えて堂々の殿様の風格で見せる。岩木山をこよなく愛した太宰治の故郷である金木村(現五所川原市)のある北側からだと、三山が縦一戦に並ぶため主峰単独の優美なシルエットが目を引き、姫と称されるのも頷ける。そして南側:岳温泉付近からでは、鳥海山の陰に他の2峰が隠れ、富士山をごつくした様な形になり、屈強の番兵の趣だ。西洋風に置き換えれば、キング、クィーン、ジャックの3姿が揃い、それぞれが一幅の名画足り得るのが岩木山最大の自慢だろう。

 山麓から登山道があるが、大概の人はスカイラインで7合目まで上がる。さらにはリフトもあるのだが、最後の最後は自分の足で登らねばならない。裾野の下部と違い絶頂部だけあって急峻、喘ぎながら登ると広い山頂に出る。独立峰だけにパノラマは遮るものがない。眼下には広大な津軽平野が広がり、陸奥湾と日本海を挟んだ津軽半島、背後には八甲田の山々、そして白神山地の膨大な山脈が延々と続く様には圧倒される。

 下山したら是非とも各方面からの姿の違いを確認しておきたいが、下山途中でちょっと寄り道を。リフト終点から反時計回りに道が延びているのだが、観測機器がある終点まで来ると丁度正面に岩木山主峰がピラミダルにそびえる。その両脇に岩峰があって、小さなガッツポーズをしているように見えるのである。そう感じるのは感性次第かもしれないが、KQJと揃う他に、やんちゃな王子を見る様で、ちょっぴり楽しくなってしまうのだ。

◆おすすめコース
リフト終点-岩木山往復(1時間:初級向け)※駐車場からだと往復2時間。リフトから例の寄り道だけなら軽装可、10分ほど。

弘前城天守閣とキングの岩木山  ( 上の画像をクリックすると大きく表示します )

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図4「八甲田・岩木山」

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