2019年11月29日(金曜日)[ 見解・資料 ]

カジノ誘致に反対し、カジノ誘致方針の撤回をめざす市従の当面の運動方針 ~カジノ誘致の是非を問う住民投票の実現に向けて~

2019年10月24日

1.「カジノ誘致反対横浜連絡会」が決定した方針

 日本におけるカジノ賭博をIR(統合型リゾート)と称して解禁しようとする動きが国政の場において急速に強まり、これに対し、林横浜市長も積極推進姿勢を表明するもとで、市民の市長をつくる会に加わる市民団体をはじめ18団体が、2014年10月に共同の運動組織として「カジノ誘致反対横浜連絡会」を発足させました。市従も発足当初から「連絡会」に参加し、これまで集会やシンポジウムの開催、カジノ誘致反対署名運動などカジノ賭博解禁と横浜誘致に反対する運動を進めてきました。こうした運動も反映して、2017年の市長選挙を前に林市長は、IR(カジノ)誘致は「白紙」へとそれまでの姿勢を変えました。

 「連絡会」は、8月22日の記者会見で、林市長がそれまでの「白紙」を「誘致推進」へと回帰させ、直後の第3回市会定例会では、IR(カジノ)誘致を前提とした補正予算を提案、自民・公明両党の賛成多数で可決する新たな情勢を受けて、9月27日に次の活動方針を決定しました。


住民投票で圧倒的なカジノ誘致反対の市民の意思を示し、カジノ誘致方針を撤回させよう ~住民投票成功を目指す活動方針(案)~

2019年9月27日
カジノ誘致反対横浜連絡会

1、この間の経過

 8月22日に林市長は、突然、それまでの「白紙」の態度を転換し、カジノを含むIR(統合型リゾート)の山下埠頭への誘致を表明し、9月3日から開会された第3回市会定例会に「横浜市でのIR実現のため、本格的な検討・準備に必要な事業費」として、債務負担行為1.4億円を合わせると4億円にのぼる補正予算案を提案しました。
 林市長は、2017年の市長選挙で、それまでの積極推進姿勢から「白紙」へと態度を変えましたが、IR(カジノ)誘致を断念したものではなく、林市長の選挙政策では「依存症対策やIR実施法案など、国の状況を見ながら、市としての調査・研究を進め、市民の皆様、市議会の皆様の意見を踏まえたうえで方向性を決定」としていました。市民の意見も聞かずに一方的にIR(カジノ)誘致を表明したことは、市長選挙で掲げた政策・主張に背反するものです。さらに昨年12月市会では、日本共産党・北谷議員の「白紙から態度を決める前にどのように民意を問うのか」との質問に対して、林市長は、「市民の皆様方からご意見を伺う時期や具体的な方法について検討している」と答弁しており、これも反故にするものです。加えて記者会見では住民投票も否定する態度を示していることも重大です。
 林市長の姿勢に対して、多くの市民や諸団体が批判の声を上げ、カジノ誘致反対の市民の声がこれまで以上に広がっているのは当然です。9月14日、15日に神奈川新聞社とJX通信が共同で実施した市民意向調査によれば、カジノを含むIR誘致に63.85%の市民が反対し、賛否を問う住民投票を実施すべきとした市民が72.48%に上っています。私たちも補正予算からIR推進事業関連予算の削除を求める請願提出とともに、連絡会にとどまらず、カジノ誘致反対を掲げる諸団体や市民にも共同を呼びかけながら市会本会議に合わせた市庁舎前集会や包囲行動、署名宣伝などを進め、カジノ誘致と補正予算の撤回を求めて運動を進めてきました。
 9月20日に行われた市会本会議は、市民の反対の声を無視して、自民・公明の賛成多数でIR推進事業を含む補正予算案を可決し、連絡会提出の請願をはじめカジノ誘致反対の立場から提出された4つの請願をいずれも不採択としました。

2、カジノ誘致撤回をめざす今後の活動方針

(1)林市長のカジノ誘致表明と補正予算の可決という新たな局面を受けて、住民投票を実施させ、圧倒的なカジノ誘致反対の市民の意思を示し、カジノ誘致方針を撤回に追い込む運動を進めます。

(2)運動を進めるにあたっては、連絡会やこれまで連携してきた運動団体にとどまらず、広範な市民や団体を結集した共同の運動組織の結成とそのもとで共同した住民投票条例制定の直接請求運動を展開できるよう対応を進めます。

(3)前項の「共同組織」が結成されれば、連絡会も合流し、住民投票条例制定の直接請求運動を全力で推進します。「共同組織」の体制やセンター・事務所、財政などについては、「共同組織」の合意にもとづき、連絡会としての対応を具体化します。

(4)運動の具体的推進は「共同組織」の合意を大切にしながら連絡会として役割を担うとともに、連絡会として次の位置づけや方針をもって条例制定の直接請求運動を推進します。

1)住民投票の実施を通じて圧倒的なカジノ誘致反対の市民の意思を示し、林市長のカジノ誘致方針を撤回・断念に追い込むことを目的にします。同時に市民の意見を一切無視し、一方的に判断をした林市長とこれに賛成した自民・公明の対応が住民自治や民主主義を否定するものとして批判の声を結集することをめざします。市の将来像や市民生活にも大きな影響を及ぼす施策は、市民の意思にもとづき決めるという民主主義と住民自治の当然のルールを守らせるために林市長は支持するがカジノ誘致は反対、あるいは賛成やわからないという市民も含め、民主主義と住民自治の実践として賛同を広げます。多数の直接請求署名を集約することを通じて、市長や自民・公明議員に圧力を加え、直接請求を否定できないことはもとより、対応の変化をつくり出すことを目指します。

2)直接請求の成立には、有権者の50分の1=約6万人の署名を2か月間で集約しなければなりません。これを大きく超える圧倒的な署名を集約するためには、それに相応しい署名を集める「受任者」の組織が必要です。目標などの設定は、「共同組織」の合意にもとづき進めることを前提にしつつ、連絡会としては、構成団体などを通じて10万人を大きく超える署名集約とそのために1万人を超える「受任者」の組織を目指します。

3)「受任者」は該当行政区で署名を集約する役割を担うことからも、「受任者」登録運動は行政区単位で「共同組織」をつくり推進することが求められます。当面、連絡会と連携してきた市民の市長をつくる〇〇区民の会や市民団体連絡会などを通じた共同の取り組みの推進とともに、幅広い区民や団体、各級議員などを結集した区における「共同組織」づくりを進めます。また、区における「共同組織」のセンター・事務所設置を進めます。

4)当面、10月26日を「受任者登録」推進の全市一斉行動日として、各区での取り組みを具体化します。

5)直接請求の日程の具体化等は、「共同組織」の合意にもとづき設定することを前提にしつつ、当面、連絡会として来年の3月市会を目途において、来年1月から3月初旬を署名集約期間、従って、今年10月から12月までを受任者登録運動期間として「受任者」の組織を進めます。

(5)連絡会の活動を強化・推進するために事務局体制を補強するとともに、今後、想定される市広報に対する反撃の宣伝物などの作成やSNSの活用など構成団体の協力を得ながら運動推進体制を強化します。また、構成団体や広く市民にも募金を呼びかけ、運動推進に必要な財政基盤を確立します。


2.IR(カジノ)横浜誘致に対する市従の態度

 市従は、林市長のIR(カジノ)誘致表明を受けて、これまでの運動の上に立って、9月6日に「横浜市のカジノ誘致に断固反対し、カジノ誘致表明の撤回を求める」中央執行委員会声明を明らかにしました。その基本的視点は次のとおりです。

(1)カジノは、敗者のかけ金を巻き上げることで成り立つ産業であり、新たな価値を生み出すものではありません。さらにカジノは「賭博」であり刑法により処罰が科せられる行為です。カジノが持ち込まれれば、市の治安や秩序を乱す問題を引き起こすことが想定されます。さらにカジノにより多くのギャンブル依存症が生まれる懸念があり、多重債務者など多くの市民を不幸に陥れることとなります。青少年の育成の観点からも重大な悪影響を及ぼします。

 林市長はカジノ誘致表明の記者発表で「これまでにない経済的社会的効果を想定」としていますが、その内容も12事業者が提案したものに過ぎず、人の不幸によって税収や経済効果を得るなどというのはとんでもないことです。さらに、インフラ整備や交通アクセスの整備を市の事業として行うことも想定され、1000億円単位とも言われる莫大な公共投資の上に成り立つことは明らかです。

 また、依存症などの問題についても国のIR整備法やギャンブル等依存症対策基本法のみを根拠に、対策は万全だと無責任な判断でカジノ誘致を強行しようとしています。

(2)林市長は、2017年の市長選挙で、それまでの積極推進姿勢から「白紙」へと態度を変えましたが、IR(カジノ)誘致を断念したものではなく、林市長の選挙政策では「依存症対策やIR実施法案など、国の状況を見ながら、市としての調査・研究を進め、市民の皆様、市議会の皆様の意見を踏まえたうえで方向性を決定」としていました。このようなカジノ誘致に対し、これまでも多くの市民が反対の声をあげてきました。2017年の横浜市長選挙ではカジノ反対の民意が明確に示され、その後の宣伝でも多くの市民が反対の署名を行なっています。6月に実施された市の説明会においても多くの反対の声が示されました。こうした状況を受け、林市長もカジノ誘致は「白紙」であることを繰り返し表明してきました。

 市民の意見も聞かずに一方的にIR(カジノ)誘致を表明したことは、市長選挙で掲げた政策・主張に背反するものです。林市長は記者会見で「市民を裏切ったという考えはない」と開き直り、住民投票についても「今のところ考えていない」と民意を問うことすらしようとしていません。

(3)地方自治の本旨は、住民自治と団体自治にもとづき住民の福祉の増進をはかることにあり、私たち自治体労働者の公務労働の本質は「憲法にもとづく基本的人権を地域に具現化する」ことであり、人の不幸を前提に成り立つ産業であるカジノはそうした原則に逆行するものです。

 財政状況が厳しいならばなおさら、大企業や富裕層優遇の税財政にメスを入れ、自治体の原点に立ち返り市民の命と暮らしを守る施策を最優先にし、大企業に仕事を独占させる大型公共事業を抜本的に見直し、地元企業が元気になる公共事業へ大きく転換し、地域が元気になり市民が安心して暮らせるまちづくりを進めていくべきであり、カジノ誘致のためのインフラ整備など大型投資はもってのほかです。

3.市従の住民投票実現をめざす運動の位置づけ

(1)住民投票の実現を通じて、圧倒的なカジノ誘致反対の市民の意思を示すことで、カジノ誘致推進を明確にした林市長と市議会多数会派の姿勢を変えさせ、カジノ誘致方針を撤回・断念に追い込むための運動と位置づけて取り組みます。

(2)同時に住民投票自体は、林市政に対する評価の違いに関わらず、カジノ誘致に賛成の市民も含めて、市政の将来に関わる重要な施策は市民の意思にもとづき決めるべきとする民主主義と住民自治の実践であり、地方自治の擁護・発展を綱領的任務とする自治体労働組合、また市従の真価を発揮すべき運動でもあります。カジノ誘致の賛否に関わらず民主主義と住民自治を実践する取り組みとしても位置づけます。

(3)住民投票を実施するためには、横浜市に「カジノの是非を問う住民投票条例」の制定を求める直接請求を行うことが必要であり、条例制定の直接請求には、これに賛同する市内有権者の1/50(約62,000人)以上の署名を2か月の法定期間内に集める必要があり、署名は直接請求代表者と代表者から委任を受けた人=受任者しか集めることができません。さらにカジノ誘致を明確にした林市長と市議会多数会派に対して、直接請求を認めさせるためには法定必要数を大きく上回る署名=市民の意思を示すことが求められ、そのためには署名を集められる受任者を大規模に組織する必要があります。立場や党派を超えて協議が進められている幅広い市民の共同の運動に市従も積極的に参画しながら受任者登録促進の取り組みを進めます。

(4)地方公務員法の制約を受けない現業の地方公務員や企業職員、特別職である嘱託職員はもとより、地方公務員法の制約を受ける非現業の地方公務員(選挙管理委員会職員は除く)についても条例制定の直接請求については「政治的行為」としての制約を受けるものではありません。従って、条例制定の直接請求署名の代表者や受任者になることに支障はなく、先に述べたように、むしろ地方自治に携わり、その発展を願う立場からは積極的に参画すべき取り組みであり、そのことを職場に明らかにしながら取り組みを進めます。

4.市従の当面の具体的取り組み

(1)市従として1000人の受任者登録を目標に、横浜市に有権者登録のある各級役員はもとより、組合員、さらには組合員以外の職員などにも受任者登録を呼びかけ、組織を進めます

(2)機関紙やウィークリーなどを活用した宣伝を推進し、受任者登録を促進します。

(3)住民投票の実現をめざす取り組みの意義を理解・浸透させるため、各支部・職場での学習会などに取り組みます。

(4)「カジノ誘致反対横浜連絡会」が提起する諸取り組みに積極的に参加するとともに、運動推進に向けた市従に対する要請について必要な検討を行います。

(5)立場や党派を超えた幅広い共同のもとに運動が進められるよう市従としても「カジノ誘致反対横浜連絡会」と連携しながら、役割を発揮します。

(6)当面の受任者登録の取り組みにあたっての市従の推進体制については、機関会議を中心に意思統一と推進を図ります。受任者組織後の直接請求署名運動にあたっては、「共同組織」の確立や「カジノ誘致反対横浜連絡会」の方針なども踏まえて検討します。

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