ハマ弁の限界あらわ 教育長「もう本当に全然できない」

 「より使いやすいハマ弁となるよう検討を行う」として、横浜市教育委員会は9月に「横浜市の中学校昼食に関する懇談会(仮称)」を設置し、10月には生徒・保護者らにアンケートを実施しました。

 アンケートに同封された手紙には「ハマ弁の特徴」として、「他都市のデリバリー型給食と遜色ない内容」だと記載されています。よほどハマ弁「肯定」意見へと誘導したいのか。頻度をたずねる設問は、「ハマ弁は、毎日の栄養バランスが考えられている昼食です。また、カレーやからあげ、ハンバーグなど、お子様が好きな人気メニューも登場します」というハマ弁の熱烈なアピールから始まって、「お子様が、ハマ弁でも家庭弁当でもどちらでもいいと言った場合」とも付け加えて「利用したくない」とは回答させない魂胆が見え隠れします。

 果たしてこのアンケート結果に子どもと保護者の本当の声は反映されるのでしょうか。

 ハマ弁と同じ「ハーベスト株式会社」が作る鎌倉市のデリバリー方式による中学校給食(2017年11月より導入)。喫食率は8割を超えています。

 なにが横浜と違うのか? デリバリー〝給食〟という名の通り、学校給食法に則って、食材や提供時間、食育にも力を入れています。食材は小学校と同じ基準を用いて市が選定したものを使用し、肉・野菜・果物・調味料に至るまで原則国産。学校給食法で「調理後2時間以内で給食できるように努めること」と定められているため、多少超過するものの、限りなく2時間に近い時間で提供できるよう努めています。提供までの時間は美味しさに直結します。

 一方、自称「デリバリー型給食と遜色ない」ハマ弁。食材から調味料まで外国産が目立ち、調理から提供まで10時間近くかかります。

 学校給食法に則った「給食」と、横浜型「昼食」。違いは歴然です。
 鎌倉市教委の学務課給食担当職員は、PTAからの「みんな一緒に食べるのを基本に」との声を受け、給食は「学校生活を充実させ、食育を盛り上げる授業の一環。そう気づかされました」と話します(1月29日朝日新聞)。

 義務教育課程における給食の実施を義務づけている「学校給食法」。中学校給食(完全給食)の未実施は全国わずか6・8%の中学校を残すのみです。

 そのうちの約4分の1が横浜市の中学校。横浜市も、住民の声に耳を傾け、学校給食法に則った中学校給食へと努力義務を果たしてもらいたい。

 とはいえ、ハマ弁には給食化できる生産能力のないことが9月12日の市会こども青少年・教育委員会の鯉渕教育長の答弁で明らかになっています。現状は「20%を達成することも厳しい状況」と答弁したかと思えば、言葉を濁しながら訂正し、「20%なんとかいけるかなと思っておりますが、鎌倉(のように)80(%)とかそういうのはもう本当に全然できない水準になると。50(%)も全然無理だと思います」。調理室を新設し、自校方式を真剣に検討する時期にきています。