パートナーシップ宣誓制度 差別に加担しない権利まだ見ぬ

 横浜市でも「パートナーシップ宣誓制度」が明日12月2日より始まります。成年で婚姻していないこと等を要件に、同性カップルや事実婚、外国籍の市民が対象。市に宣誓書を提出したカップルに受領証と受領カードを交付する制度です。

 渋谷区が同性パートナーシップ制度を導入した2015年から「横浜市でもいずれはやるべきだ」との意見が庁内にもあったと、人権課の吉川正則課長は話します。

 宣誓は、原則一週間前までに予約した上で、人権課で行います。「この制度の導入をきっかけに性的少数者への差別がおこなわれないよう、周囲への理解が進むことも期待しています」

 各自治体に広まってきた「パートナーシップ制度」。マイノリティへの理解を広めるという点においては大きな前進です。

 一方で、自身も当事者で、性的少数者の支援をおこなうNPO法人「SHIP」の星野慎二代表は、「制度導入はとても喜ばしいこと。行政が認めていることに大きな意味がある」と歓迎しつつ、すべての人が利用できる制度ではないことも指摘します。パートナーがいても市内在住者しか利用できません。「双方が『オープンにしてもいい』と考えるカップルばかりではありません。利用できる人はごく僅かなのではないでしょうか」。

 勤務先にも課題が残ります。「忌引きや介護等の休暇の場合、同性パートナーだと会社によっては認められない。そうした家族の定義を社会的に広げていく必要があります」

 しかも、パートナーシップ宣誓制度は、法律上の婚姻にはあたらないため、いかなる拘束力も持ち得ず、本来保障されるべき権利は剥奪されたままです。

 例えば戸籍上の同性カップルは、可視化されずとも、様々な不便や不利益を被り、不安定な生活を余儀なくされています。配偶者控除や相続などの税制上の措置。パートナーが亡くなった場合の相続や遺族年金。入院に関わる手続きや手術の同意書。こうした法律婚に認められた法的保護や待遇の埒外に据え置かれ、日常の差別に晒されたままです。

 憲法24条では婚姻の自由が謳われ、「法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」と定められています。憲法は幸福追求権、法の下の平等も規定しています。

 現在、同性カップルの法律婚を認めるのは27か国。その多くにパートナーシップ制度が実現してなおも声を上げ続けた人民の歴史があります。

 すべての住民に法律婚を選択する自由が実現する日まで、現行法で権利を享受するマジョリティにとってさえ、国家と資本による差別という暴力に加担しない権利は具現化していない。