2020年8月27日(木曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第178山】 三国山 外1,320m(神奈川県・静岡県・山梨県)「県西端の三山」

 神奈川県の西の端、丹沢山地の外れでもあるが、そこに気になる三つの山が連なっている。交通不便なせいもあって登山者の影は薄いものの、そのどれもが「技あり」の個性を備えた山だ。登山道の優しさも手伝って、充実の三山巡りが楽しめるのである。

 トップは、この連載でも触れたことのある三国山で、神奈川・静岡・山梨の三県境に位置する。ただしあまり山らしくない。突出したピークの一点ではなく、緩やかな尾根上の肩に相当するところ、たまたまそこが3県境なので、無理やり山名が付いたようなものだ。ブナなどに覆われ、自然豊かな落ち着いたムードがある。木の葉越しに富士山のシルエットも望まれ、休憩にはもってこいの安らぎポイントといえよう。

 2山目は明神山、ただし鉄砲木ノ頭なる別称があり、インパクトが強いせいかこちらの方が、通りが良い。三国山から一旦は三国峠に下る。ここは車道が越えていて、神奈川県最西端地点に相当する。そこからは緩やかに登っていく。三国山とは対照的に、森を外れススキなどの草原状の環境になる。足元は小石まじりの砂状で、江戸時代の宝永噴火による富士山の火山灰が降り積もったものだ。深くえぐれた部分は赤土が露出していて、これは数万年前からの富士噴火によるもので、ローム層に相当する。歩きにくい登山道に、富士火山の歴史が明瞭に刻まれているのである。

 山頂からの展望は実に広大だ。この上なく大きな富士山、手前に少しずれて山中湖。展望の広やかさ、という視点では県内随一だろう。気宇壮大、なる言葉がここほどはまる所もない。

 ラストは緩やかな森のプロムナードを経て高指山へ。こちらは山頂だけ森を抜けていて、やはり富士山の眺めがいいが、山中湖と縦一線に並んでいるところが先ほどと違う。イメージも随分と異なり、よくまとまった絵画的な構図になっている。

 そのまま山中湖畔へと下る。別荘地あり、テニスコートありのレジャーの殿堂だ。背後に並ぶ、本日辿った三山を振り返りつつ、あらためてその違い・個性に思いを馳せてみよう。

◆おすすめコース
御殿場線駿河小山駅(タクシー)明神峠─三国山─鉄砲木ノ頭─高指山─平野─石割の湯(4時間:中級向け)※三山縦走がお勧めだが、それぞれ1山ずつなら登山口から往復1時間ほどでお手軽に楽しめる。

「高指山からの展望、絵画的な風景」上の写真をクリックすると別のタブで大きく表示します。

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図29「丹沢」

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