2020年10月23日(金曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第180山】 笹ヶ峰 1,860メートル(愛媛県・高知県)「四国の笹の殿堂」

 四国の高山帯といえば、石鎚山系、剣山系、四国カルストなどがあるが、どれもが笹原に覆われていることが特筆される。それも稜線の一部とかいったレベルではなく、山全体を覆い尽くすような様が、他には見られない独特の山岳景観を生み出している。笹エリアを歩くというと、視界の利かないヤブ漕ぎが連想されるが、オモゴザサ(面河笹)など四国高山帯の笹はどれも背丈が低い。腰くらいの高さが続くので、笹原であっても見晴らしは抜群、アルプスの稜線歩きのような気分が味わえる。

 そんな「笹四国」の代表といえば、石鎚山系にあってズバリの山名を持つ笹ヶ峰が挙げられよう。四国の山の中では十分に高い標高があり、古来尊崇されてきたことでは、霊峰として名高い石鎚山よりも歴史が古い。高峰群の中では海岸寄りにあり、下界から見つけやすいせいもあるだろう。

 北麓の登山口から登るのが一般的だ。深い樹林が忽然と開けると、方形の広場とその端に建つ横長2階建ての古い木造建築が現れる。まるで山奥にある小学校の分教場に迷い込んだよう。ここは丸山荘といい、元々はスキー小屋であったのが、リフトなどの機械化がなされず次第に衰退、現在は四国でも有数の山小屋として笹ヶ峰登山者の便に供している。

 小屋からしばらく登り再び樹林を抜けると、もうそこは笹一色の世界となる。急斜面だろうがお構いなしに拡がる淡いグリーンのうねりに圧倒される。山頂は広い。眼下には笹海、その背後には、四国の有象無象の山々が果てしなく広がる。格別有名な山がある訳ではないが、幾重にも波涛の様に連なる山並みに、「四国は山国」と感じ入ってしまうに違いない。

 笹ヶ峰は実は二コブ山で、目の前には殆ど高さの似通ったピーク「ちち山」が構える。人を喰ったような名前だが、国土地理院地形図に記載のある正式山名だ。山頂からは東西に縦走路が延びる。笹のうねりがどこまで、どのように展開するのか、先を確かめたくなる衝動に駆られる。とまれ笹ヶ峰こそ、山姿の雄大さ、笹の覆われ度などから、笹系山のニッポン代表と認定してよいだろう。

◆おすすめコース
北麓登山口─丸山荘─笹ヶ峰(往復6時間:中級向け)※できれば丸山荘に泊まってじっくり山を堪能したい。小屋は古いが食事は一流だ。

「ちち山の西側から望む笹ヶ峰本峰」上の写真をクリックすると別のタブで大きく表示します。

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図55「石鎚・四国剣山」

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