【189山】黒崎の鼻 標高約15メートル(神奈川県)絶景に秘められた戦史

【189山】黒崎の鼻 標高約15メートル(神奈川県)絶景に秘められた戦史

 通常は凡そ山とはみなされない。標高僅か15m、突き出た岬のほんの高まりに過ぎない。が、下から見る角度によっては、見事な山脈シルエットを描き、山頂からの絶景は比類がない。山の資格は十分といえる。

 京急終点の三崎口駅近く、平坦に整備された畑の道を一直線に歩く。車道が尽きると背丈を超す薄暗い笹ヤブに突入する。坂を下ってしばし、突然前方が開けて海の大パノラマが目に飛び込んでくる。少し登り返した所がここのピーク。眼下には寝転びたくなるような気持ちよい芝生状の草原が広がり、海の藍色と鮮やかなコントラストをなしている。突き出た岬の突端だから、海の見える範囲は目先300度近くに及ぶ。見通しの良い時には、海上に浮かぶ富士・箱根・丹沢が圧巻だ。

 海辺に出たければ、左側へ下ると良い。磯と浜が適度に入り混じった変化に富む海岸線を堪能できる。そして周囲を見回してみよう。知られざるここのセールスポイントに気が付く。電柱などの人工物が見当たらないのだ。ためにNHK大河ドラマなど時代劇のロケ地となってきた。馬関戦争の舞台になったことも。

 いや、実は山腹中には巨大な人工物が隠されている。深いヤブに覆われ見えづらく到達も困難だが、コンクリート製の横穴がトンネル状に穿たれたもの。大戦末期、特攻兵器の回天(人間魚雷)や震洋(自爆モーターボート)の格納庫であったという。

 とんでもない兵器だが、本土決戦にならず、ここでは実用に供されなかったのがせめてもの救いだろう。要塞地帯であった三浦半島には、軍事史跡があちこちに隠されている。あらためて、安心して山に登れる平和な世のありがたさをかみしめたい。

◆おすすめコース 三崎口駅─黒崎の鼻(往復45分:初級向け)

◆参考地図・ガイド マピオンなどで三崎口駅付近を検索。現地に標識はない。

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