孤立しがちな新型コロナ禍  連帯で困難を解決する 旗びらきあいさつ

 新型コロナウイルス感染症をめぐる状況を踏まえて、今年の旗びらきは1月7日に行われた中央(闘争)委員会の冒頭に位置付けて開催しました。中央執行委員会を代表し、政村修中央執行委員長からあいさつしました。政村委員長のあいさつ(要旨)を掲載します。

貧困と格差広げた新自由主義路線

 新年明けましておめでとうございます。

 昨年は、新型コロナ禍のもとで様々な活動上の困難に直面しながらも機関役員のみなさんのご協力で、団結を維持し、要求課題の解決という面でも、行き届かない点は数多くありましたが、踏みとどまることができたと思います。

 カジノ住民投票の直接請求運動では、自治体労働組合として市従の役割をいかんなく発揮し、歴史的と言える到達をつくることに貢献し、市民的信頼を広げたと言えます。

 新型コロナ感染症は、第3波と言われる感染拡大に歯止めがかからず、再度の緊急事態宣言発令という事態を迎えようとしています。今日の事態は、政府の無為無策にとどまらず、GO TOキャンペーンに固執して感染拡大に拍車をかけたまさに人災と言っても過言ではない事態だと思います。そして何よりも菅首相が掲げる「まずは自分でやってみる」と言う「自助」「自己責任」論こそ、その根底にある大問題として指摘しなければなりません。

 一方、新型コロナ禍は資本主義の矛盾、とりわけ私たちが一貫して批判してきた新自由主義路線がいかに格差と貧困を広げ、脆弱な社会をつくり出したのかを鏡のように映し出しました。本日提案する春闘方針案の中でも様々な経済指標を紹介していますが、新型コロナ禍の影響がとりわけ非正規労働者を直撃し、雇い止め・解雇、またそこに至らずとも休業やシフト削減などで収入が途絶えた途端に生活困窮に陥る、そして低下が続いていた自殺者数が増加に転じ、とりわけ非正規労働が多くを占める女性に顕著な増加が現れているということです。そして、医療や公衆衛生、公務・公共の縮小が危機に対する十分な対応をいかに困難にしているのか鮮明にしているのではないでしょうか。

新型コロナが炙り出した資本主義の限界

 昨年12月27日に神奈川労連も加わる神奈川国民大運動実行委員会の主催で、桜木町駅頭で何でも相談会が実施されました。私も参加しましたが、次々と切実な相談が寄せられ、食糧支援は短時間で用意した食糧がなくなり、あらためて深刻な事態を実感しました。

 今、世界的にも資本主義の限界ということも言われています。昨年11月17日に日本経団連が発表した「。新成長戦略」は、「今回のパンデミックは、とりわけ社会の最も弱い部分に大打撃を与え、資本主義のもとで進行していた格差を浮き彫りにした」「資本主義をサステイナブルなものとするためには格差の是正が不可欠であることは言うまでもない」「利潤追求のみを目的とした経済活動の拡大は、環境問題の深刻化や格差問題の顕在化等の影の部分をもたらした」などと資本主義・新自由主義への反省から書き出されており、財界の側からの文書として注目しました。しかし、その後に続くのは、「socity5.0」に向けたデジタル化の推進、時間・空間の制約を受けない柔軟な働き方と人材流動化など新たな利潤追求と労働者の搾取強化の従来の主張の繰り返しであり、そこには新型コロナ禍を乗り越えた新しい社会のありかたを見出すことはできません。

 当面する春闘をはじめ困難な闘いも想定されます。新型コロナ禍のもとでともすれば要求の自粛やあきらめ感も生じがちです。しかし、新型コロナ禍を乗り越えるために賃金引き上げと格差の是正、8時間働けば人間らしく暮らせる雇用と労働条件を確立することこそ求められています。「小さな政府」論のもとで縮小・解体された公務・公共を再構築するために執行体制の拡充をはじめとする要求も社会的大義があります。この正当な主張を私たちが考える新しい社会のあり方とも結びつけて運動を進めていくことが求められています。

憲法と地方自治が息づく市政へ

 さて、御存じのとおり昨日から臨時市会が開催され、直接請求によって提出されたカジノ住民投票条例案が審議されています。本日の常任委員会、明日の本会議で採決が行われます。カジノ推進会派が多数を占める議会構成から条例案の可決は予断を許さない状況にありますが、あらためて条例案に付した市長の意見や市会の質疑を見ても、林市長の選挙公約や自らの言動に無責任な姿勢はもとより、地方自治の本旨に対する無理解、「信頼と共感」を自ら掘り崩す姿を浮き彫りにしたと思います。今年夏には市長選挙が行われます。住民投票直接請求運動でつくり出した市民と野党の共同を市長選挙の闘いに継承・発展させ、市従が一貫して掲げてきた憲法と地方自治が息づく働きがいのある市政の実現に結実させなければなりません。同時に今年は10月までに必ず総選挙が行われます。私たちが望む社会のあり方をはじめ、要求を基礎に職場から旺盛な政治論議をつくり出し、主権者としての権利を行使しましょう。

 新型コロナ禍で人間相互の関係が希薄になり、1人1人が孤立しがちだと言われています。だからこそ連帯と団結で困難を解決することができる労働組合の出番であり、職場の仲間にその存在が見えることが重要です。今一度、職場の仲間に市従や支部の存在が見えているか各支部の活動を点検し、可能性を汲みつくしているか深めていただきたいと思います。

 最後に、機関役員のみなさんが今年も1年間、市従の旗のもと元気でご活躍されることを祈念して、年頭の挨拶とさせていただきます。