市民病院 人もモノも足りない 公的医療の危機

 私の勤務する集中治療室(ICU)では看護師全員が16時間2交替勤務をしています。

 陰圧がかかる個室で新型コロナウイルス感染症の陽性者のうち重症者、重症化が予測される患者を受け入れます。陰圧とは、外部より気圧を低く設定することにより、病床の空気そのものを外に漏らさない仕組みのことです。隣り合う陰圧室をつなぐゾーンと呼ばれる通路を隔てて他の病床があります。

 コロナ対応の勤務日が連続しないようにローテーションが組まれていますが、18床が満室に近い状態のために人的余裕がなく、当初はタイベック(防護服)の着脱は介助を含む2人体制でおこなっていましたが、現在はそれぞれが自分で着脱しています。特に脱ぐときは緊張を伴います。ゴーグルなど一つひとつ外していくたびに手指消毒をおこない、汚染された外側を触らないように、外に向けて丸めながら脱いでいきます。

 防護服を長時間着ていると、汗だくになり、のどが渇くだけでなく、頭痛を伴う職員もいます。そして何より疲労感。2時間毎に脱いで休息することが望ましいのですが、看護師の配置が患者の人数に見合っておらず、3時間、4時間と着続けることになります。

 勤務しているときは緊張感から疲れを感じませんが、16時間の勤務の後、押し寄せるようにどっと疲れます。職員の使命感でなんとか耐えているのが現場の実情です。

 しかし、精神論だけでは住民のいのちを守り切れません。わたしたちの働きを政治が正当に評価して、患者と職員を守るために人を増やしてほしい。

 物品も不足しています。今年1月から陽性者を看護するにもN95(マスク)の不足が続きました。 職員個人の〝がんばり〟に依存する公衆衛生政策は、危機にあります。

写真は市民病院ホームページから