保育園の基盤を支える専任の職員が必要だ

 私たち保育所福祉員は、朝夕の託児、保育補助、環境整備を担った週25時間勤務の会計年度任用職員です。

 その勤務は特殊で、出退勤を1日2回。鍵開けと部屋の準備に始まる託児と環境整備の朝2時間。夕方は、部屋の掃除と環境整備、保育士から引き継いだ子どもたちを託児して保護者に引渡した後に戸締りするまで3時間。「毎日同じ顔の職員が子どもを受け入れて引き渡す」ことで、忙しい保護者や登園をしぶる子に安心を与えました。

 すべての開所時間で保育を提供する「子ども・子育て支援新制度」のもと、現在、託児は全園で終了。代わって始まったのが、私たちの託児によった時間も、土曜日11時間開所も対応する保育士の「ズレ勤」のような勤務の細分化。

 小さい子どもを持つ保育士には、仕事を続けることが特別に難しくなりました。「早番・遅番が多く、我が子の送迎が大変」とは若い保育士の声です。

 早朝出勤にバスがなく、実態としてタクシーを頼る保育士もいます。市内全域を異動する保育士の通勤は、自らも居住する地域の保育園に勤務する私たちのような歩きや自転車とは限りません。

 勤務時間帯の細分化で、保育士が揃う会議は開きにくく、複雑な家庭環境の子や配慮が必要な子にきめ細かく対応する保育士にとって、コミュニケーション不足で増す負担の大きさ。「事務作業も多く疲れてしまい、子どもたちとゆっくり向き合える時間が持てない」とこぼす保育士もいます。それでいて、園児の保育のほかに、掃除、洗濯、ゴミ出し、草取りや木の伐採といった環境整備もすべて保育士の業務に。託児事業を前提に配置されてきた福祉員はいずれ雇わない想定です。

合理化されているのは保育者の労働ではない。発達保障だ。

 振り返ってみると、福祉員は何が必要かを自ら考えて働く裁量を持っていました。汚れている所、壊れている所、危ない所はないか確認して修繕する。おもちゃを手作りして手入れする。園庭の整備、花や畑の手入れ。満足のいく金額ではなくとも、月給制の安定した雇用に応えて、細かい所まで責任を負うことが、職の誇りというものです。

 私たちがいなくなっていく保育園は、エアコンや網戸、側溝などの細かい掃除、草取り、手作りおもちゃにかける時間を減らし、作業を削っています。

 非正規雇用の保育士を補充しても、日替わりの日額職が増えるばかり。自律した判断を求めたくても、常識的に考えてアルバイトに相当する職に責任は負わせられないでしょう。継続して園全体を見渡して働ける職員が少なくなっています。

 一方で、保護者対応を福祉員も行い、保育補助として福祉員もクラスに入っている保育園では、託児の経験も活用されており、園運営が円滑です。

 であるならば、長年培われた福祉員の経験や気づきを次の世代につないでいきたい。すべての福祉員の任期が終わる3年後までに、職の新設を。保育士に加えて、保育園の基盤を守り支えるような業務に専任の職員が必要だと考えます。子どもたち、保護者、職員のみんなが過ごしやすい保育園のために、です。