貧困と格差を是正する社会へ 春闘を起点にした統一闘争で新自由主義を終わらせよう

 新型コロナウイルス感染症をめぐる状況を踏まえて、今年も中央闘争委員会の冒頭に旗びらきを位置付けました。1月13日に中央執行委員会を代表して、水野博中央執行委員長がおこなったあいさつの要旨を掲載します。水野委員長は、巨額の利益を上げるために社会を脆弱にしたグローバル資本とそれに味方する政治の責任が問われるべきだと話しました。

コロナ危機
浮き彫りになった脆弱な社会

 新年あけましておめでとうございます。年頭にあたり挨拶をさせていただきます。

 新型コロナ感染症は、世界的なオミクロン株の感染拡大により、日本でも急激に感染の拡大が進み、第6波に突入しているといえます。世界の新規感染者は3億人を超え、死者も500万人を超えています。日本の新規感染者は170万人を超え、死者は2万人に迫っています。

 コロナ危機は、医療・公衆衛生の脆弱性を浮き彫りにしました。

 低い処遇におかれた非正規・女性労働者が職を失い、住まいや食料の確保もままならない実態が明らかになりました。

 いのちを守る体制の脆弱性や、職を失った人が困難に陥ったのは、コロナ危機以前から続く新自由主義です。個人の尊厳を中心に据える政治への転換が求められています。

3分の2議席
憲法を蹂躙する政治の動き

 10月31日投開票で行われた総選挙では、批判が高まるもとで自民が15議席減らしました。

 立憲・共産・社民は比例区で議席を減らしましたが、市民連合と野党4党(立・共・れ・社)が共通政策を締結し、213選挙区で候補を一本化して、東京8区をはじめ62選挙区で勝利し、惜敗率90%以上は33選挙区、80%以上は53選挙区に及びました。

 与党に維新の改憲勢力を含めると3分の2以上の議席になります。岸田首相は、11月1日の記者会見で「党是である改憲に向け、精力的にとりくむ」と改憲への意欲を示しました。

 憲法審査会を強引に開催する動きを警戒し、改憲を許さない国民世論を大きく広げることが求められています。

2022春闘
いのちとくらし守りきる要求

 日本の賃金水準は世界と比べて大きく立ち遅れています。1997年を100として比較した場合、2020年では韓国157・9、フランス131・7、イギリス129・7、アメリカ122・2など賃金が引き上げられているのに対し、日本は90・3と実質賃金が下がっています。

富裕層の富と巨大企業の内部留保は増えている。ぜんぶ労働者の手から生まれたものだ

 一方、富裕層の富は増えています。2021年の日本の上位50人の資産は合計で約27兆円と昨年より48%も増加しました。資本金10億円以上の大企業の内部留保は2020年度に466・8兆円となり、前年度から7・1兆円増やして過去最高額を更新しています。

 全労連・国民春闘共闘は、実質賃金の回復と生計費原則に立って「月額2万5000円以上、時間額150円以上」の賃金引き上げ、「時間額1500円以上」の最低賃金要求を掲げ、ベア追求と一体に「全国一律最賃制確立」要求を掲げた最賃闘争を進めることを提起しています。

 一方、連合は、「ベア2%程度、定昇込み4%程度」の要求基準を示したものの、賃金の「上げ幅」から「賃金水準」への転換を打ち出した2019春闘から続く個別賃金目標の要求を提起しました。大企業産別では、今年もトヨタ労組が、巨額の利益を上げながらベア要求の目安額を示さない方向が報じられています。これらの一連の傾向は、社会的な賃金相場形成を否定するものです。春闘の個別分散化と統一闘争を解体しかねない姿勢を明らかにしていることは重大です。

 「8時間働けば普通に暮らせる社会」をめざし貧困と格差の是正や大幅賃上げなど官民共同による運動を進めていきましょう。

公務への期待
広範な市民との共同の前進

 要請行動を背景に非常勤職員要求の前進を目指すとともに、人員・予算、福利厚生・被服、独自要求の実現に向けて取り組みを進めます。

 定年延長は、交渉が本格化する予定となっています。段階的な定年年齢の引上げのもとで要求の前進が求められています。

 市民要求の実現に向けた広範な市民との共同の強化、自治体DXの課題についても取り組みを進めていきます。

 今、コロナ禍のもとで公務公共労働者への共感、期待が広がっています。新「いのち署名」と「職員のいのちと健康を守る運動」を両輪で進めていきましょう。

新採用職員を迎えて
職場に組合を根付かせる

 最後に、大きな市従に向けた取り組みについてです。「増勢」に向けて、今年4月の新採用職員を迎える構えをつくり、市従共済も活用しながら要求実現の運動と合わせて取り組みましょう。

 以上、年頭に当たっての挨拶とします。今年もよろしくお願いします。