ウクライナ危機 強欲資本主義が呼び込んだ衝突

視座

 ウクライナ東部のドネツク、ルハンスク両地域の親ロシア派が自称する「人民共和国」の独立を承認したロシアは、2月24日、軍隊を派遣。軍事施設への攻撃を始めたと発表しました。同日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、戦時体制の導入を宣言しました。

 国際法上の平和維持活動には、伝統的に積み上げられてきた慣行があります。紛争当事者双方の合意に寄らず、対立を深める隣国へ軍隊を送り、特定の立場に偏向して行使するロシアの実力とは違うものです。この点を卑劣な侵略と批難して、プーチンが踏み切った無法な軍事行動に抗議する無数の声を、わたしたちは知っています。

 今、それに何かを付け加えることはしません。ここで指摘するのは、米国、NATO、EUにある危機の発端と責任です。

 1990年初頭までにドイツの再統一を決断した西側の指導者たちは、モスクワに「NATOの東方不拡大」を繰り返し約束しました。協定書の不存在ゆえ、一部に懐疑する者がいます。ロシアによる侵略の口実づくりではないか。ですが、公開済みの米国務省の会議録でも、同じ約束と申し入れが繰り返されてきたことは確認されています。

 どちらに噓があり、だれが混乱を望んでいたのかは明らかです。自国とわずかに体制が違うロシアに「権威主義」「専制主義」のレッテルを貼り、自らは「民主主義」の正義の守護者だと演出し、口先ばかり外交交渉を言いながら強固な態度を続けてきた面々もまた犯罪的です。

 行き詰まる経済の解決を新しい勢力圏の確保に求め、軍事的影響力の拡大という覇権的な方法も用いて、市場の占有、エネルギーと原材料の独占、輸送ルートの確保、投機などを妥協しないなら、苛烈な競争は必ず戦争に行き着きます。

 今回で言えば、核兵器共有同盟のNATOを東方へ拡大し、準軍事機構とファシスト集団の手にも渡る武器をウクライナに提供してきた米国の、ロシアを包囲し孤立させることを狙った長年の対応がウクライナを爆発寸前の火薬庫に仕立てたのです。

労働者の戦争ではない

 各国が続々と経済制裁を発表し、日本の政府もそれに続いています。これは誰を利するのでしょうか。ワシントンのハゲタカは、経済覇権を強固にする口実を手に入れました。打撃を受けるのはロシア労働者の生活です。客観的に見れば、強欲な富裕層の政府がする停戦要求はつまり、他国の人民の暮らしを人質にして自国と同盟国の資本に貢献することを意味します。

 多極化した世界の協調を可能にするものは、労働者の国際連帯だけです。恒久平和を求める労働者のたたかいは、自国の軍事同盟に反対し、労働者階級の政治勢力を築く方へ向かわねばなりません。