ウクライナへの侵略 危機を深める攻撃的アプローチ

 安全保障理事会が要請した国連総会の緊急特別会合は、米国などが提出した決議案「ウクライナへの侵略」を141か国の賛成多数で採択しました。

 国連加盟国の7割超にあたる国が賛成した一方で、反対5、棄権35、国連分担金が支払えないために投票権が停止されている反対派のベネズエラが含まれる無投票12を合わせると、賛成しなかった国は52に上りました。96の共同提案国を除く賛成の45か国を超える数です。

 それぞれ棄権には20、無投票には3、核兵器禁止条約に署名または批准している国々が含まれています。

軍拡を平和と呼ぶ倒錯

 平和な国際社会を希求する先頭に立つ国々が、ロシア非難決議に賛成することを躊躇した事実を、どのように解釈すればよいのでしょうか。

 鳩の足型を丸く囲んだシンボル「ピースマーク」で世界に知られるイギリスの平和運動CND(核軍縮キャンペーン)の公式サイトに、「NATOにNoネットワーク」の2月24日の声明が掲載されているのを読みました。「私たちは民間人に影響を与えるような制裁を拒否する」「相手を犠牲にして可能な安全保障はなく、それは軍国主義と対立に根ざしており、だからこそ私たちはNATOの拡大に反対し続ける」。

 同ネットワークは、3月6日にグローバルな反戦行動日を設定し、呼びかけ文でも明確に「ロシアの侵略に反対し、すべてのロシア軍の即時撤退を求める」ことと並んで「NATOの拡大と西側諸国の攻撃的なアプローチが危機の原因になったことを認識し、NATOの拡大の停止を要求する」態度です。

 CNDのサイトは、ケイト・ハドソン事務局長の状況分析でも「NATOは平和と民主主義の軍隊でも、あどけない傍観者でもない」と書いています。

 かつてロシアがクリミア半島を併合した2014年にはまだ、米外交問題評議会の『フォーリン・アフェアーズ』誌上にも似た認識が示されていました。政治学者ジョン・ミアシャイマー「悪いのはロシアではなく欧米だ――プーチンを挑発した欧米のリベラルな幻想」、外交史家ジョシュア・シフリンソン「欧米はロシアへの約束を破ったのか――NATO東方不拡大の約束は存在した」といった具合に。

 緊急特別会合に話を戻しましょう。「国家を包囲し閉じこめて平和を実現することは不可能だ」「攻撃的行動をとった者の責任を認めていない」。決議案が危機の解決を真の目的としていないことを指摘した、核禁条約加盟国キューバの発言です。

 ウクライナでの戦争を終わらせようとする労働者の国際連帯は、軍事的プレゼンスの低下を自国に決断させる圧力を構築しなければなりません。