【第217山】大室山580メートル(静岡県)山と高原と海岸と

【第217山】大室山580メートル(静岡県)山と高原と海岸と

 火山と聞いてイメージするステレオタイプは、頂部に穴の開いたプリン型、だろうか。東伊豆にある大室山は、そんなスタイルにピッタリだ。約4000年前に誕生、直径1㎞、山麓からの高さは200mほど、かつては登山道もあったが今ではリフトのみ。火口に沿ってぐるり一周する御鉢周りができるが、全線舗装されているので、それこそお気楽に、足腰の弱い人でも楽しめてしまう。一方で登山経験者にも、実に新鮮な魅力に満ちている。

 リフトで上がると、いきなり火口が目に飛び込んでくる。とてつもなく巨大なすり鉢だが、全面グリーンの穏やかな癒し系のスタイルだ。御鉢一周は高低差があるが所要20分ほど。毎年野焼きを行うので樹木が育たず一面の草原だから、終始遮るもののないパノラマが絶品。しかも歩いて角度が変わる度に景観も変わっていく贅沢さ。伊豆大島の近さ・大きさに驚き、水平線上に利島や新島が並ぶ。天城連山は雄大で、富士山もバッチリ。遠く箱根・丹沢・三浦と神奈川県の山々も延々と連なる。とにかくこの一周で、山登りの苦労もなしに、山頂でのみ許される醍醐味が一流の感覚で堪能できてしまう。

 さて眼下に目をやると、緑の森の中に無数の住宅がカラフルな屋根を並べている。リゾート地として名高い伊豆高原だ。実は、広大な高原全域は大室山の溶岩流で成り立っている。山の本体は小さいのに、何十倍ものボリュームで流れ出て固結した台地である。散策が楽しい。大半は車道だが、美しい樹林に囲まれた洒落た家や庭を眺めつつ歩くので飽きない。

伊豆高原の住宅と大室山

 そして溶岩流の末端は相模湾に流れ込む。灼熱のまま海水に触れ、さらに荒波に造形され、奇岩の連続する豪快な海岸風景が連なる。これが城ヶ崎海岸で、展望灯台や大吊り橋など観光地として人気があるが、野趣溢れる遊歩道が延々と整備されているので、ハイカーにとっても海岸歩きの聖地となっている。

 まさに「伊豆高原と城ヶ崎海岸は大室山のたまもの」なのだ。山に登り、高原を散策し、海岸を闊歩する。三方ミックスのウォーキングで、大室山火山のユニークさを存分に理解し、味わってしまいたい。

◆おすすめコース
 シャボテン公園前からリフト利用で山頂一周(約1時間:初級向け)、城ヶ崎海岸歩き(1~4時間:初級向け)※観光気分からベテランハイカーまで、レベルに応じてプランニングしたい。

登りたいのは山々カテゴリの最新記事