地域に暮らすすべての労働者・学生と連帯する2023年に(上)

 昨年10月22日、朝鮮学校の卒業生らと組合員が、映画『アイたちの学校』を鑑賞し、在日朝鮮人社会に友好的な日本人や朝鮮半島からの留学生とともに、髙賛侑監督を迎えて交流しました。会運営の協議と当日の報告を抜粋して構成した紙上座談会を掲載します。労働者の権利拡張と並んで地方自治擁護、国際連帯・日本の完全独立・世界の恒久平和のたたかいを綱領的任務とする組合の運動にとって、関わり深い論点が含まれています。(まとめ・編集長)

排外主義に抗して北東アジアに友好と平和を築こう

映画『アイたちの学校』『ワタシタチハニンゲンダ!』の髙賛侑監督(最前列左から4人目)を囲んで(撮影=横浜市従会館)

組合勤務員(日本人
 9月17日、金正日国防委員会委員長(当時)と小泉純一郎総理大臣(当時)による平壌宣言から20年が経過しました。この企画の目的や思いについて、少し述べます。

 まず、日本国内の状況ですが、国交正常化への約束は履行されず、9月17日付『神奈川新聞』が指摘しているように、感情的な報道の過熱が「朝鮮とつくものに対しては何をしても構わないという、すさみ」を育ててきました。この歪んだ20年、宣言を貫く精神に期待した在日朝鮮人の失望は相当なものがあろうかと思います。

 れっきとした国家に対して侮蔑を込めて平然と「北朝鮮」と呼ぶようなニュースの氾濫に慣らされているわけですが、わたしは、隣国間に緊張を持ち込みたがる勢力との一体化を欲しません。準備にあたって、朝鮮人のメンバーから、それぞれのいる位置を確認しながら一歩ずつ友好をすすめていこうとの呼びかけがありました。

 わたしたちは交流拡大を求めているということを確認しておきたいと思います。

基調報告は在日朝鮮人と日本人それぞれから企画の目的や思いが語られた

在日本朝鮮青年同盟勤務員(在日朝鮮人
 わたしは当時、15歳でした。当時から日本政府主導の排外主義は根本的に変わっていないと実感しています。

 むしろ排外主義を制度で固定化して、朝鮮学校(=ウリハッキョ)への差別を助長しています。日本政府は、国際政治の課題で制裁の矛先を朝鮮学校生徒と児童に向け、高校無償化制度からも幼保無償化制度からも除外し、神奈川県は経常費補助金を停止、横浜市も補助金を打ち切りました。行政が率先して差別する、「官製ヘイト」の様相です。

 だからこそ、在日朝鮮人として、屈せず自らの自主性と自尊心を守り、植民地支配の過去清算を勝ち取らねばなりません 。

大学生(在日朝鮮人
 わたしは朝鮮学校に小、中、高校と通い、日本の大学に進学しました。ウリハッキョは、なくてはならないものです。朝鮮の言語、文化、歴史を学べるからです。

 在日朝鮮人学生が自分の民族を知る唯一の場が消されようとしている状況は、対照的に、朝鮮学校がいかに重要であるかを示しています。

 在日朝鮮人が朝鮮人として生きづらい社会で、在日朝鮮人について教わらない、民族のアイデンティティを自覚する機会のない学生は、全体の9割に及びます。私も日本人しかいない大学に進んで、在日朝鮮人社会から離れてみると、どんどん果てしなく離れていくことを実感しました。意識的につながっていなくては朝鮮人としての自分が消えていってしまう社会だと身にしみて感じて、在日本朝鮮留学生同盟の活動をしています。

続きは後編「朝鮮学校を守り発展させることは、日本社会にとって必要なこと」