深まる危機のもと団結する春闘に 社会的運動を前進させよう

 1月12日、中央執行委員会は「横浜市従2023年国民春闘方針(案)」を提案しました。春闘方針は、支部の意見を踏まえた修正ののち、2月2日の中央闘争委員会で決定される予定です。方針案の「春闘期の情勢と特徴」と「春闘期の主要な闘争課題と闘いの構え」をもとに作成した討議資料を掲載します。

ストライキ含む統一行動批准投票を高率で成功させよう

 2023春闘は、労働者のいのちとくらしが危機に直面し、その解決を求める声と運動が大きく前進している最中にたたかわれます。国民的課題・要求を正面に掲げ、労働者と国民の団結と共同で、政治を動かし危機を打開しようと呼びかけるならば、大きな国民的運動となる条件があります。
 横浜市従業員労働組合の参加する国民春闘共闘は、実質賃金の回復と生計費原則に立って、「月額2万5千円以上、時間額150円以上」の賃金引き上げ要求、「時間額1500円以上」の最低賃金要求を掲げ、ベア追求と一体に「全国一律最賃制確立」要求を掲げた最賃闘争を進めることを提起しています。

 一方、自治労が加盟する連合は、「ベア3%程度、定昇込み5%程度」の要求基準を示したものの、「上げ幅」から「賃金水準」への転換を打ち出した2019春闘から続く個別賃金目標「30歳で26万1千円」などの要求と最低賃金時給1150円以上を提起しています。また、国際的に見劣りする日本の賃金水準を中期的に引き上げていく必要があり、それぞれの産業状況や賃金水準の現状などを加味して要求基準を策定などとしています。社会的な賃金相場形成を否定し、個別分散化と統一闘争解体の姿勢を明らかにしていることは重大です。

全国一律1500円で世論うごかす最賃闘争

 最低賃金全国一律1500円運動が世論を動かしています。
 中央最低賃金審議会は、2022年度の最低賃金についてA・Bランクで31円、C・Dランクで30円引き上げて、加重平均で961円とする目安を答申しましたが、地域間格差を拡大する目安となりました。地方最低賃金審議会では、22の道県で中央の目安を上回り、目安制度が始まって以降の最高額となるとともに、地域間格差が2円縮まるとともに多くの審議会で中小企業支援の強化を求める付帯決議が採択されました。

会計年度任用職員の賃金と高卒初任給 生計費に届かず

 昨年8月8日、人事院は国家公務員の月例給と一時金両方の引上げを勧告しました。本俸については、高卒初任給を4千円引き上げ、若年層の俸給表の改定を行い、一時金は勤勉手当を0・10月引き上げる内容です。11月11日に勧告を実施する「一般職の職員の給与に関する法律」の改正法が可決成立しましたが、物価高騰に追いつかず実質賃金は低下し、 最低賃金全国加重平均と高卒初任給の格差は広がる状況となっており、生計費原則に基づいた、生活改善につながる実質賃金の引き上げが求められています。

 地方人事委員会の勧告では、多くの人事委員会が、給料表の改定だけでなく、公民較差を埋める手法として、水準調整や手当引上げを勧告しました。国は「制度は国準拠、水準は地域民間準拠」を強調し、引下げに言及を求めていますが、国準拠の給与制度の押しつけに無理が生じていることは明らかです。
 また、すべての地方人事委員会が一時金の引き上げを勧告しました。いずれも国に準じて勤勉手当の引上げとしていますが、期末手当が国の月数より低かった浜松市、鳥取県、福岡県の人事委員会は、期末手当の引上げも勧告しています。
 会計年度任用職員の一時金については、大阪市で期末手当の引上げが月数で示され、和歌山県人事委員会は、月数明示はないものの期末手当を引き上げることが適当だとしました。多くの人事委員会が「常勤職員には特別給として期末手当及び勤勉手当が支給されていることにも留意する必要」や「期末手当の支給月数のあり方を検討する必要」の旨の言及をしており、私たちの運動が各地の人事委員会当局に問題意識を持たせています。月例給の引上げ時期については、奈良県で実施時期を含めた判断の必要性に言及しました。給与条例の改正が4月遡及とするならば、会計年度任用職員の給与改定も4月に遡及するべきです。

定年延長はほとんどの自治体が国準拠

 定年年齢の引上げについては、ほとんどの自治体で国と同様の制度となっています。
 60歳以降の格付けや職務等について、地方自治体と国には実情や年齢構成等に違いがあり、国と同様の制度で安心して働き続けられるのか、不安の声が聞かれます。
 自治体の規模や職員構成、級別基準職務表の運用などに違いがあることを踏まえて、制度づくりをすすめる必要があります。

賃上げ・雇用安定による内需主導の経済再生を求め、公務員賃金・労働条件の改善、生活擁護と要求実現をめざす闘い(主要な闘争課題と闘いの構え:要約・抜粋)

(1) 産業別・企業内最低賃金要求「時間額1,500円以上」、賃上げ要求「月額25,000円以上、時間額150円以上」に結集し、すべての労働者の大幅賃金引上げ、ベア獲得、最賃引上げをめざします。
(2) 「8時間働けばふつうに暮らせる社会」をめざし、働くルールの確立を求める闘いを進め、官民共同による運動を前進させます。
(3) 会計年度任用職員の賃金・労働条件の改善と雇用を守る闘いを、正規・非正規一体となり前進させます。法改正を含めた自治体非正規労働者の処遇改善の取り組みを進めます。
(4) 組合員参加での「一職場一要求実現」運動を職場から強めながら要求獲得を粘り強く追求します。