【第242山】入笠山1955メートル(長野県)大展望とお花畑をお手軽に

 我が国を代表する大山脈:南アルプス、その北端に位置する山が入笠山である。一帯は、峻険な南アルプス主要部とは裏腹に、たおやかな、丘のようなうねりが連続する。一方で標高は2000m近く、高山エリアといっていい。にもかかわらず、ゴンドラが1780mまで運んでくれるから、お花畑と大展望に気軽に触れることのできる、楽でお得な山といえる。実際、元気な観光客なら、天候条件さえ良ければ気軽に登ってしまえる。

 まずは長大なゴンドラで尾根上まで上がれば、もうそこは真夏でも涼風の吹く高山帯だ。この一帯の売りは、随所に広大なお花畑があること。さらには花期が長く、5月下旬から9月まで、季節ごとの花が質量ともに存分に楽しめるのがいい。なかでも6月のスズランはボリュームで日本一ともいわれ圧巻だ。

 わずかな歩きで入笠湿原に至る。ここも湿性の花々で溢れかえる。その先、2軒の山小屋の脇から、ようやく本格的な山登りが始まる。とはいっても30分ほどでお目当ての入笠山頂へ。展望はほぼ360度。まずは正面、八ヶ岳が堂々と横たわる姿が圧倒的。雄大な裾野の手前に、広大な畑や町景色から成る伸びやかな風景がまたいい。他には北アルプス・中央アルプスはほぼ全山、自身の属する南アルプスは近過ぎるゆえか、かえって全貌を掴みにくいのはご愛敬だ。

ご来光後の山頂で、左やや上が八ヶ岳

 大半の人はそのまま往路を下るが、意欲のある人は山の反対側へ下るとよい。エリア内のもう一つの湿原:大阿原湿原に至り、湿原外縁を一周するルートが整備されている。湿原としては晩年で草原化が進みつつあるが、人の訪ずれが少なく、静謐なムードはなによりだ。さらには湿原最奥部から、その先のテイ沢にちょっと立ち入ってみると、がらりと雰囲気の変わる森林風景が楽しめる。

 日帰りがメインの山だが、余裕があれば小屋泊まりをすすめたい。夜は満天の星が絶景だし、朝一で暗い中、ヘッドランプを灯して山頂に登れば、極上のご来光が満喫できる。少ない労力で、第一級の日の出シアターが見られる山としても特筆しておきたい。

◆おすすめコース
ゴンドラ山頂駅─入笠山─大阿原湿原─ゴンドラ山頂駅(3時間半:初級向け)
※入笠山までの往復なら2時間、ファミリーにも向く。山小屋は2軒あるがマナスル山荘天文館がお勧め。

◆参考地図・ガイド◎「富士見パノラマリゾート」のホームページからトレッキングマップをダウンロード