民意を無視し、地方自治を踏みにじる辺野古新基地建設の代執行訴訟の判決に強く抗議する

 12月20日、福岡高裁那覇支部は、国が沖縄県を相手に提訴していた「代執行」に向けた裁判で、沖縄県に対し、米軍普天間新基地建設を巡る設計変更申請の承認を命ずる判決を出した。判決では「申請が放置されれば普天間飛行場の危険性の除去が実現されず、公益が侵害される」として、設計変更申請を承認するよう沖縄県に命じている。横浜市従は基地撤去を願う沖縄の民意と地方自治を踏みにじるこの不当判決に強く抗議する。

 沖縄県民は、これまで県民投票や県知事選挙を通じて、一貫して新基地建設反対の意思を示してきた。しかし今回の判決は、3度の県知事選挙、県民の7割強が辺野古新基地建設反対の意思を表明した2013年2月の県民投票などで明確に示された「基地はいらない」の民意を踏みにじるものである。日本政府と米国の「公益」だけを尊重し、本来の「公益」である新基地建設に反対する民意を一方的に退けた判決と言わざるを得ない。

 また沖縄県は国に対話による解決を求めてきたが、国は県の訴えに向き合わず、代執行訴訟を提訴した。地方自治法が代執行の要件を「著しい公益侵害が明らか」などと厳しく定めているのは、国と自治体が対等・協力の関係で、地方自治が憲法で保障されているからである。今回の判決は、「対等・協力」の関係を国と同じ様にないがしろにしており、政府のみならず、司法までもが地方自治を否定しているものである。

 自治体の権限を国が奪うという今回の問題は沖縄だけの問題にとどまらず、今後日本の各地で横行するおそれがある。日本政府が全国どこでも海を埋め立て、軍事基地などを造ろうとするとき、住民の利益を尊重する自治体首長が権限を行使し、阻止しようとしても、また、沖縄のように住民投票により「基地はいらない」の意思を明確に示したとしても無視されてしまいかねない。横浜で言えば「横浜ノースドック」でも新たに揚陸艇部隊が配置されたばかりである。国が基地強化することになれば、神奈川でも民意や地方自治が切り捨てられることにつながりかねない。

 沖縄県民は戦後、米軍により銃剣とブルドーザーで土地や田畑を奪われてきた。そして今、再び政府と司法により豊かな海、漁場が奪われようとしている。在日米軍基地の7割が集中し、自衛隊基地の新建設や増強を強いられる沖縄県に、これ以上の基地を建設することは決して認められない。また日本のいかなる場所でも軍事基地の強化、建設は許してはならない。横浜市従は「地方自治を破壊する一切に反対する」、「日本の完全独立」を綱領的任務とする労働組合として、沖縄県民はもとより全国の基地建設反対、地方自治を守る闘いに取り組む市民と連帯し、辺野古新基地建設反対、基地撤去の取り組みに結集していく。

2023年12月26日
横浜市従業員労働組合中央執行委員会