【第196山】越後三山2085メートル(新潟県) 激しくも身近な山々

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 全国にはいろんな三山がある。高さと雄大さなら南アルプスの白根三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)。北アルプスでは3000m級の立山三山(立山、浄土山、別山)。古来の宗教色なら出羽三山(月山、湯殿山、羽黒山)。身近で小さな三浦半島では武山三山(武山、砲台山、三浦富士)。各山夫々が主役を張れる三山があれば、三つ揃って独特の個性を発揮する三山など多士済済だ。

 三山が揃うと、各山を順に踏破してゆく「三山掛け」が思い浮かぶ。古くは宗教色が強く、修験や登拝の質を高めるためにあえて厳しい三山登頂を志したものだ。今も三山すべてを踏んで、達成感や充実度を求める人は多い。それなら最もきつい三山はどこか。それが越後三山なのである。

奥只見の山から、駒ヶ岳(右)と中ノ岳(左)

 越後三山は新潟県中越地方に鎮座し、地域名を取って魚沼三山ともいわれる。駒ケ岳、中ノ岳、八海山、そのどれもが登山口から山頂までの標高差が大きい上に急登の連続で、ただでさえきつい印象がある。そして三山駆け、これが半端ない。特に厳しいのが八海山と中ノ岳の間の踏破だ。八海山から500m下り、中ノ岳に850m上り返さねばならない。同じ稜線上での2山間の落差で比較すると、全国でも最大級だ。

 だがその労力に駆り立てるだけの魅力に満ちている。奥深い山々が重畳と重なるパノラマを左右に、豪快極まりない縦走を満喫できる。駒ヶ岳は堂々の日本百名山、ルート上の湿原、山麓の温泉など魅力は多彩。標高一番の中ノ岳は姿が威風堂々、山頂に避難小屋があるので朝夕の眺望が欲しいまま。八海山はむしろ日本酒の銘柄として有名、稜線が岩の連続、縦走路は鎖場が連なり修験道の殿堂であった。夫々、姿も一級品だ。わが国でも屈指の豪雪地帯であり、白銀に染まる冬景色は、山の峻嶮さやボリュームとあいまって迫力満点。北アルプスの3000m峰にも勝るほどの雄姿を誇る。

 この三山は里からもよく見える。山麓からスキー場の立ち上がる八海山は当然として、駒ヶ岳も中ノ岳も前山の後ろにひょっこり顔を出している。それ故に古来越後三山として地元に親しまれてきた。厳しさと親しさとが同居、それが越後三山の身上なのである。

◆おすすめコース
枝折峠―駒ヶ岳―枝折峠(9時間:中級向け)
※三山駆けとなると所要20時間、山中2泊は必須。