【第199山】恵那山2191メートル(長野県・岐阜県)牛後に甘んじた山

【第199山】恵那山2191メートル(長野県・岐阜県)牛後に甘んじた山

 名称は天照大神誕生の際の胞衣(胎盤のこと)を埋めたとされる伝説から。歴史の古さなら一級品、しかも堂々の日本百名山でありながら、どことなく影が薄い、そんな山なのだ。

 山容は大きい。しかも目立つ。スケールに加え、山頂部がのったりと長く、周囲に比肩するような高峰がないこともあって、遥か遠方からでも容易に特定できる。山麓の中津川市から見上げると実に大きく気高い。僅かな距離でいきなり2000m差の山が君臨しているからだ。信州の各所から北アルプスを見るのとほぼ互角なのである。

 そんな存在感ゆえか、周辺エリアへの影響力も計り知れない。かなり離れているのに峡谷は恵那峡、地方都市は恵那市。中央自動車道が貫くのはズバリ恵那山トンネルだ。それだけ地域にとってシンボル的な存在であることがわかる。

 もちろん登っても姿通りに雄大だ。長い山上部のあちこちで展望が開け、特筆すべきは3つの日本アルプスから距離的に等しいことだろう。北アルプス南部、南アルプス南部、そして中央アルプスの核心部が、ほぼ平等な大きさで見られる。こればかりは恵那山のオンリーワンといっていい。

南アルプス南部から、中央の富士山スタイルが恵那山

 これほどの山でありながら、登山者目線では影が薄いのはなぜか。それは成り行き上、中央アルプスに属してしまった故と言えよう。そもそも中央アがアルプスらしいのは木曽駒ヶ岳周辺の狭いエリアに過ぎない。ところが山脈が南へ延々と伸びている関係で、遥か離れた恵那山まで中央アに組み込まれてしまう。恵那山自体がどんなに立派でも、アルプス所属になってしまうと末席にならざるを得ない。実際、日本アルプスに属する百名山の中で標高が最も低いのである。

 山好きは、アルプスにはアルプスらしさ……標高が高い、スタイルが峻烈、雪山としての見事さなど、諸々を求めてしまう。恵那山はどれにも縁がない。アルプスの番外地扱いだ。もし周辺を恵那山地と呼び、そこの盟主が恵那山であったのなら、どれだけ相対的地位が上がったことか。鶏口になれず、牛後に付いたがために、実力以下の評判に甘んじている、ちょっと残念な山なのである。

◆おすすめコース
 神坂峠─恵那山(往復)(7時間:中級向け) ※他の2ルート含め車が必須。山頂に避難小屋がある。

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